不正競争行為差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 釣り具のうき(棒うき)を製造販売する控訴人(一審原告)が、同じくうきを製造販売する被控訴人(一審被告・有限会社財津釣具)に対し、被告商品の形態が原告商品の形態(ZF形態及びSP形態)に類似しており、被控訴人による被告商品の販売が不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に該当すると主張して、被告商品の譲渡等の差止め、廃棄、及び損害賠償386万円等の支払を求めた事案の控訴審である。原審(大阪地裁)は、原告商品の形態が同号にいう「他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているもの」に該当するとはいえないとして控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 主な争点は、原告商品(木製黒色ボディで下部が下膨れ形状をした自立うき)の形態が、不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するか否かであり、具体的には①商品形態の特別顕著性の有無、②当該形態の周知性の有無が問題となった。控訴人は、原告商品の下膨れ形状やボディの比率、色彩配色等に他社商品にはない特徴があり、釣り雑誌等での紹介を通じて需要者間で周知であると主張した。被控訴人は、うきの形態は性能と結びつく機能的形態であり商品等表示に該当しないこと、需要者は「遠矢うき」という商品名で識別しており形態自体に周知性はないことを主張した。 【判旨】 控訴棄却。大阪高裁は、商品形態が不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するためには、①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していること(特別顕著性)、及び②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、又は極めて強力な宣伝広告等により需要者において特定事業者の出所表示として周知になっていること(周知性)を要するとの判断枠組みを示した。その上で、特別顕著性について、釣り具のうきの形態はより良い釣果を上げるための技術的工夫が反映された結果であり、機能・効用の側面から一定の範囲に収れんするため商品ごとの形態差は微細なものとなること、需要者は形態の微細な差よりも商品やその製造者の評判を参考にして選択すると考えられることから、特別顕著性があるといえるためには他のうきとかけ離れた特異な形態であることが必要であるとし、原告商品にそのような特異な形態は認められないと判断した。周知性についても、原告商品の製作者P1がクロダイ釣りの「名人」として著名であり商品自体が知られていることは認められるものの、それは「遠矢」ないし「遠矢うき」という商品名と結びついた周知性であって、商品形態自体の周知性を裏付けるものではないとした。以上から、原告商品の形態は商品等表示に該当せず、控訴人の請求は理由がないとして原判決を維持した。