AI概要
【事案の概要】 本件は、「PETCOATING ペットコーティング」の登録商標(本件商標)の商標権者である原告(株式会社エコテック)が、住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広告等に被告(株式会社サービング)が付して使用した「ペットコーティング」等の各標章(被告標章1〜4)は本件商標に類似し、本件商標権を侵害する(商標法37条1号、2条3項8号)と主張して、被告に対し、各標章の使用差止め及び広告の廃棄を求めると共に、商標権侵害の不法行為に基づき、損害額につき商標法38条2項を適用して1100万円の損害賠償及び遅延損害金の支払を求めた事案である。原告と被告はいずれもペット飼育に適したフローリングのコーティング施工を業としており、被告は平成23年7月頃から自社ウェブサイト、雑誌広告、パンフレット等で被告各標章を使用していた。 【争点】 (1) 本件商標と被告各標章の類否(争点1) (2) 役務の同一性又は類似性(争点2) (3) 原告の損害及び損害額(争点3) 被告は、本件商標が記述的商標であり権利行使は権利濫用に当たること、原告が長期間本件商標を使用していなかったこと、両者のサービスの性能・市場・需要者層が異なること等を主張して争った。 【判旨】 裁判所は、争点1について、本件商標は「PETCOATING」と「ペットコーティング」の上下2段書きの結合商標であるが、下段は上段のカタカナ読みに過ぎず不可分的に結合しているとは認められないとして、各構成部分を分離して被告各標章と比較することを許容した。その上で、被告標章1〜4のいずれについても、本件商標と称呼及び観念が同一であり、外観も類似又は少なくとも称呼・観念の同一性により出所の誤認混同のおそれがあるとして、類似性を肯定した。争点2についても、被告各標章に係る役務は本件商標の指定役務「住宅及び商用施設の床のコーティング工事」と少なくとも類似すると認定した。差止め及び廃棄請求は全部認容された。争点3については、原告は遅くとも商標登録時点で本件商標を使用しており、原告と被告は競業関係にあるとして商標法38条2項の適用を認めた。被告の限界利益は合計約1億4950万円と認定したが、施工内容・工法・仕上がり等が重要な要素となる役務の性質上、被告各標章の売上寄与はかなり限定的であるとして、推定覆滅割合を95%と認め、逸失利益747万5336円に弁護士費用74万7533円を加えた822万2869円の損害賠償を認容した。