損害賠償(住民訴訟)請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4行コ18
- 事件名
- 損害賠償(住民訴訟)請求控訴事件
- 裁判所
- 広島高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年5月10日
- 裁判種別・結果
- 破棄自判
- 原審裁判所
- 山口地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 山口県がトヨタセンチュリー1台を代金2090万円で購入する売買契約を締結し、公金を支出したことについて、県の住民である被控訴人(原告)が、同契約の締結・履行及び公金支出が違法であるとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、当時の県知事であるA知事に対する損害賠償請求を県に代位して求めた住民訴訟の控訴審である。県は当時センチュリーを3台(貴賓車1台、議長用1台、副議長用1台)保有しており、副議長用公用車が更新基準を満たしたことに伴い、行財政改革の一環として物品管理課による一元管理と台数削減(3台から2台へ)を図る見直し案の下、新車のセンチュリーを購入し、旧貴賓車と旧副議長用車の2台を下取りに出して処分した。原審は被控訴人の請求を認容したため、控訴人(山口県知事)が控訴した。 【争点】 ①本件売買契約の締結・履行及び公金支出が財務会計上の違法行為といえるか、②A知事の故意・過失の有無、③損害の有無が争われた。被控訴人は、県の財政がひっ迫する中で約2000万円の最高級車を購入する必要はなく、より安価な車種やレンタカー等で対応すべきであったと主張した。控訴人は、貴賓車としての品格・安全性・実績に基づく車種選定や、台数削減を含む見直し案には合理性があると反論した。 【判旨】 広島高裁は原判決を取り消し、被控訴人の請求を棄却した。まず、物品購入契約の締結は地方公共団体の長の合理的な裁量に委ねられており、裁量権の逸脱・濫用がある場合に限り違法となると判示した(最高裁平成25年3月28日判決参照)。その上で、本件センチュリーの購入目的は、皇室や外国要人の来県時に品格・安全性を備えた車両で最大限の敬意を示すことにあり、目的自体は相当であると認定した。車種選定について他車種の検討がなされなかった点も、長年の使用実績等に鑑みれば相応の合理性があるとし、ハイヤーやレンタカーで対応しなかった判断にも安全面・セキュリティ面から合理性を認めた。さらに、見直し案全体として、黒塗車の3台から2台への削減や物品管理課による一元管理は、行財政改革の目標にも沿うものであり、相応の合理性を有すると評価した。加えて、A知事は契約締結前に個別の報告を受けておらず、会計管理局長の専決により処理されたものであるから、知事に指揮監督上の義務違反や故意・過失も認められないと判断した。