組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反,殺人未遂,器物損壊
判決データ
AI概要
【事案の概要】 特定危険指定暴力団五代目A2會の構成員である被告人A(理事長補佐兼A組組長)及び被告人B(専務理事兼組長秘書)が、複数の凶悪事件に関与したとして起訴された事案である。①「自治会長事件」では、暴力団追放運動に取り組んでいた自治総連合会会長宅に対し、深夜にけん銃で弾丸6発を発射した殺人未遂事件(平成22年3月)、②「丙事件」では、暴力団排除方針を採る企業の従業員に対し、けん銃で弾丸を発射して下腹部挫創の傷害を負わせた殺人未遂事件(平成23年2月)、③「乙事件」では、建設会社取締役をけん銃で射殺した殺人事件(平成23年11月、被告人Aのみ)、④「看護師事件」では、A2會総裁が自身の担当看護師の対応に不満を抱き、組織的に看護師を刃物で襲撃して重傷を負わせた組織的殺人未遂事件(平成25年1月)、⑤「器物損壊事件」では、被告人Bが拘置支所内で窓ガラスを破損した事件である。いずれも暴力団組織の活動として計画的・組織的に敢行された。 【争点】 各事件における主な争点は、被告人両名の犯行への関与の有無、故意及び共謀の成否であった。特に看護師事件では、①殺人の実行行為該当性及び実行犯の殺意、②組織性(団体の活動として組織により行われたか)、③被告人Aの故意及び共謀、④被告人Bの故意及び共謀が争われた。被告人Aについては、犯行に用いるバイクの調達を配下組員に了承した行為や、犯行後の通信傍受記録における報酬分配に関するやり取りから関与が認定された。被告人Bについては、組長秘書としてP(組長)とK(実行指揮役)をつなぐ連絡役を果たしたことが共謀の根拠とされた。 【判旨(量刑)】 被告人Aを無期懲役、被告人Bを懲役14年に処した(求刑:被告人A無期懲役、被告人B懲役16年)。被告人Aについては、一般市民をけん銃で射殺した乙事件への関与だけでも無期懲役刑に値するとし、さらに自治会長事件・丙事件での指示役、看護師事件での関与を加え、上位者からの指示による犯行であることを考慮しても刑事責任の重大さは揺るがないとした。被告人Bについては、指示役や実行役と比較すると関与の度合いは相当程度落ちるものの、各犯行の円滑な遂行に一定の役割を果たし、A2會との関係を維持したまま反省が不十分であるとして、重大な刑事責任を認めた。