AI概要
【事案の概要】 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」)に関する贈賄事件である。大手広告代理店C社の専務執行役員等であった被告人Aと、同社の東京2020大会プロジェクト本部長等であった被告人Bは、同社代表取締役Dと共謀の上、東京2020大会の組織委員会マーケティング担当理事Fに対し、C社が組織委員会のマーケティング専任代理店の販売協力代理店として選任されることや、スポンサー契約の提案・交渉等の支援業務を行わせてもらえるよう有利かつ便宜な取り計らいを受けたい旨の請託をした。被告人らは、大会招致決定前から理事が代表取締役を務める会社とコンサルティング契約を締結し、理事就任後約4年間にわたり多数回の請託を重ねた。理事はこれに応じて各方面への口利きや内部情報の提供等を行い、特にC社のスポンサー企業獲得が難航した際には専任代理店の取引先候補企業を融通するなど、様々な便宜を供与した。被告人らは、その謝礼等の趣旨で、令和元年11月から令和4年1月までの約2年2か月間に26回にわたり、月額55万円、合計1485万円のコンサルティングフィーを振込入金して賄賂を供与した。 【判旨(量刑)】 被告人Aを懲役1年6月(執行猶予3年)、被告人Bを懲役1年(執行猶予3年)に処した。裁判所は、東京2020大会が世界最大規模のスポーツの祭典として国家的にも重要と位置付けられていたところ、本件は組織委員会役員の職務の公正さと大会の適正な運営を大きく損ね、その信頼を失墜させ、大会に汚点を残したもので、結果は重大であるとした。動機についても、理事の影響力を利用して自社の利益を上げることに執心し、理事との癒着を続けたもので酌むべき点はないと判断した。被告人Aについては、大会関連業務を統括する立場で本件犯行全般に主体的かつ積極的に関与し、顧問弁護士から贈賄に当たり得るとの指摘を受けてもなお契約を見直さなかった点で規範意識の希薄さを指摘した。被告人Bについては、理事との契約締結で主導的役割を果たしたものの、退社後は関与の程度が小さくなったことから、被告人Aよりも軽い刑とした。一般情状として、被告人両名がいずれも捜査段階から事実を認めて真摯に反省していること、前科前歴がないこと等を考慮した。