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知財

発信者情報開示請求事件

判決データ

事件番号
令和4ワ1541
事件名
発信者情報開示請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2023年5月12日

AI概要

【事案の概要】 本件は、アダルトビデオの制作・販売を業とする原告が、アクセスプロバイダである被告(NTTコミュニケーションズ)に対し、プロバイダ責任制限法5条1項に基づき、発信者情報の開示を求めた事案である。原告は、氏名不詳者らがP2P方式のファイル共有プロトコルであるBitTorrent(ビットトレント)を利用して、原告が著作権を有する動画5作品を複製したファイルを不特定多数の利用者に送信し得る状態にしたことにより、原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたと主張した。原告は調査会社に委託し、ビットトレントネットワークを監視するソフトウェアを使用して、トラッカーサーバーからファイル提供者のIPアドレスリストを取得した上、各ピアとの間でハンドシェイク(応答確認)を行い、侵害者のIPアドレス等を特定したとしていた。 【争点】 主な争点は、(1)原告の著作権侵害が明らかであるか、(2)本件各発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか、(3)開示を受けるべき正当な理由があるかの3点であった。特に争点(2)では、ハンドシェイク時の通信から把握される発信者情報が、プロバイダ責任制限法上の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に当たるかが中心的に争われた。被告は、ハンドシェイクは応答確認にすぎず、動画ファイルの送受信を伴う通信ではないから、権利侵害に係る通信とはいえないと主張した。 【判旨】 裁判所は、争点(1)について、ビットトレントネットワークの仕組みに照らし、各IPアドレスを割り当てられたピアが動画ファイルをダウンロードすることで「送信可能化」の状態に至ったと認め、公衆送信権の侵害は明らかであると判断した。調査会社の監視ソフトウェアによる調査手法も、ビットトレントの仕組みを踏まえた合理的なものとして信用性を認めた。 しかし、争点(2)について、裁判所は原告の請求を退けた。公衆送信権の侵害(送信可能化)が生じたのは動画ファイルがダウンロードされた時点であり、ハンドシェイクはそれよりも後の応答確認にすぎないから、ハンドシェイクによって権利侵害がもたらされたとはいえないとした。さらに、プロバイダ責任制限法の構造上、「当該権利の侵害に係る発信者情報」は、権利侵害をもたらす通信から把握される情報(特定発信者情報以外の発信者情報)と、ログイン等の4類型に限定された通信に係る情報(特定発信者情報)とに区分されるところ、ハンドシェイクの通信から把握される情報はそのいずれにも該当しないと判示した。以上から、その余の争点を判断するまでもなく、原告の請求はいずれも棄却された。本判決は、ビットトレント事案におけるハンドシェイク時の通信と発信者情報開示請求の関係について、厳格な解釈を示したものとして実務上注目される。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。