著作権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、韓国在住のモデル兼経営者である原告が、自らが共同代表を務める韓国企業を通じて「ASCLO」ブランドのアパレル商品を販売するにあたり、商品の販売促進目的で撮影した写真336枚(原告写真)について、アパレル販売会社である被告が、そのウェブサイト、インスタグラム及びツイッターにおいて原告写真を無断で複製・掲載した行為が、原告の著作権(複製権、翻案権、公衆送信権、送信可能化権)及び著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)を侵害するとして、差止め及び約1541万円の損害賠償を求めた事案である。被告は、中国のECプラットフォーム「タオバオ」上の店舗から商品を仕入れる際、同店舗の商品ページに掲載されていた原告写真を自社サイト等に転載していた。被告は、物流業務委託先である中国企業の担当者に写真の使用許可について問い合わせた際、「使って大丈夫と思います!」との回答を得ていたことを主張した。 【争点】 主な争点は、(1)原告写真の著作物性、(2)原告が著作権者・著作者人格権者であるか、(3)複製権・翻案権・公衆送信権・送信可能化権・同一性保持権・氏名表示権の各侵害の有無、(4)被告の故意又は過失の有無、(5)損害額であった。被告は、原告写真はいずれもありふれた撮影方法によるもので著作物性がないと主張し、また、タオバオ上の写真には著作権表示がなく、仲介業者からも使用可能との回答を得ていたため故意・過失がないと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告写真について、撮影場所、ポージング、構図、服のコーディネート、カメラの角度等を工夫して撮影されたものであり、撮影者の個性が表されているとして、全て写真の著作物に該当すると判断した。被告写真のうち原告写真と同一のもの30枚は複製権侵害、上下左右を一部切除したもの等は複製権又は翻案権の侵害と認定し、公衆送信権及び送信可能化権の侵害も認めた。同一性保持権については、原告写真と全く同一の30枚は侵害を否定し、ごく僅かな切除にとどまる約50枚についても通常の著作者の名誉感情を害しない程度として侵害を否定したが、切除が一見して明らかな約255枚については侵害を認めた。氏名表示権侵害は全写真について認めた。被告の過失については、仲介業者への問合せは根拠のない回答を得たに過ぎず、権利関係の調査として不十分であると判断した。損害額については、原告が主張したアマナの料金表(1枚3万5200円)は利用目的が異なるとして退け、PIXTAの単品購入料金を参照し1枚当たり6000円を基礎として著作権侵害による損害を335枚分201万円、著作者人格権侵害の慰謝料15万円、弁護士費用21万6000円の合計237万6000円を認容した。