3番所有権抹消登記等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、被相続人Aの遺言執行者である被上告人が、土地(本件土地)はAの相続財産であり、遺言の内容に反する所有権移転登記がされているとして、本件土地の登記を受けた上告人らに対し、抹消登記手続等を求めた事案である。 Bは本件土地を所有していたが、平成20年に死亡し、妻Aと子である参加人が各2分の1の割合で共同相続した。Aは平成21年に、一切の財産をCに2分の1、Cの子Dに3分の1、参加人の子Eに6分の1の割合で相続させ又は遺贈する旨の公正証書遺言をした。その後、参加人はAの意思に基づかない無効な遺産分割協議書を利用して本件土地の所有権移転登記を行い、さらに上告人らに本件土地を売却した。Aの死亡後、Eは遺贈を放棄し、被上告人が遺言執行者に選任された。原審は、本件土地の持分2分の1(Aの相続財産部分)に関する処分行為は旧民法1013条により無効であるとして、被上告人の請求を一部認容した。 【争点】 遺言執行者である被上告人が、本件登記の抹消登記手続を求める訴えについてどの範囲で原告適格を有するか。具体的には、(1)相続分の指定に係る部分について遺言執行者が抹消登記手続を求める権限を有するか、(2)包括遺贈の放棄により効力を失った部分につき、他の包括受遺者への帰属を根拠に原告適格を有するか、が問題となった。 【判旨】 最高裁は、遺言の各部分について遺言執行者の原告適格を個別に検討した。第一に、共同相続人Cの相続分を指定する部分については、相続分の指定がされても遺産分割により個々の財産の帰属が確定される点に変わりはなく、指定相続分に応じた持分の移転登記を取得させることは遺言執行者の職務権限に属しないとして、原告適格を否定した。第二に、Dへの包括遺贈の部分については、Dが受けるべき持分に関する限度で原告適格を肯定した。第三に、Eへの包括遺贈の部分については、Eの放棄により効力を失ったところ、民法995条の「相続人」には包括受遺者は含まれず、放棄された包括遺贈の目的物は他の包括受遺者には帰属せず相続人に帰属するとの解釈を示し、Dへの帰属を根拠とする原告適格も否定した。結論として、被上告人の原告適格は本件土地の持分6分の1に関する部分に限られるとし、原判決を変更して、持分合計3分の2に関する訴えを却下し、残余の持分につき更正登記手続を命じた。