損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4ネ227
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 福岡高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年5月26日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 久保田浩史、久保田浩史
- 原審裁判所
- 福岡地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 北九州市内で飲食店(ラウンジ)を経営していた被控訴人が、指定暴力団五代目P会傘下の暴力団五代目Q組の構成員から刃物で顔面を切りつけられるなどの襲撃行為を受けて負傷し、後遺障害が残存したとして、P会総裁である控訴人A及びP会会長である控訴人Bに対しては民法715条1項又は暴対法31条の2に基づき、Q組組長である控訴人Cに対しては民法719条1項の共同不法行為責任又は同法715条1項に基づき、損害賠償金約7973万円及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案の控訴審である。原判決は6155万0595円及び遅延損害金の限度で請求を認容し、控訴人らが控訴した。被控訴人は暴力団排除の標章を店舗に掲示し、Q組組長である控訴人Cの来店も婉曲に断っていたところ、平成24年9月7日深夜に刃物で顔面及び臀部を襲撃され、出血性ショックに陥るほどの重傷を負った。 【争点】 主な争点は、①本件襲撃がQ組組長である控訴人Cの指示に基づく組織的活動か、②本件襲撃が暴力団排除の標章掲示への対抗措置・みかじめ料確保目的か、③P会総裁の控訴人Aが暴対法31条の2の「代表者等」に該当するか、④被控訴人の顔面瘢痕が後遺障害等級7級12号に該当するか、⑤被控訴人の非器質性精神障害が後遺障害等級9級10号に該当するか、⑥慰謝料額の相当性である。 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、本件襲撃は控訴人Cの指示に基づくQ組の組織的活動であると認定した。その根拠として、襲撃の準備・実行に複数のQ組組員が関与し個人的動機は認められないこと、Q組若頭Hが襲撃に用いた車両の調達等を指示していたこと、関与した組員が処分を受けていないこと等を挙げた。襲撃の目的については、標章制度開始直後の時期に行われたこと、直前に同種の放火事件が発生していたこと等から、暴力団排除活動への対抗・みかじめ料確保のための威力誇示と認定した。控訴人Aの「代表者等」該当性については、「総裁」の名称、継承式での席改め不実施、年賀状や新年会での序列、絶縁状の名義等の事情から、P会の運営を支配する地位にある者と認めた。後遺障害については、顔面の12cm・幅2mmの割創縫合部分は周囲の変色も含め鶏卵大面以上の瘢痕と同程度に人目につくとして7級12号該当性を肯定し、接客業従事者であった被控訴人の労働能力喪失率を等級どおりとした。非器質性精神障害についても、PTSDに準ずる抑うつ・不安障害の発症を認め9級10号該当性を肯定した。傷害慰謝料1000万円、後遺障害慰謝料1180万円もいずれも相当とし、原判決を維持した。