損害賠償金請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、控訴人(原告)が運営するウェブサイト上の商品販売用画像(画像①〜⑧)について、被控訴人(被告)がこれらを複製し、自社の通販サイト(被告サイト)の各商品ページに掲載して閲覧可能な状態にしたことが、控訴人の著作権(複製権及び送信可能化権)を侵害するとして、民法709条に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審である。控訴人は「スキャンパン」ブランドのフライパン等を取り扱う会社であり、委託先の「いつも社」に約700万円を支払い、商品紹介用の画像を含むウェブサイト関連業務を委託していた。原審(東京地裁)は著作権侵害を認めたものの、損害額を5万円と認定して請求の大部分を棄却したため、控訴人が敗訴部分を不服として控訴するとともに、当審において訴訟費用2万4330円を損害として追加する拡張請求を行った。 【争点】 主な争点は損害額の算定方法である。控訴人は、①本件各画像は被告サイトの7つの異なるURLの商品ページで個別に使用されており、ウェブページごとに損害額を算定すべきである、②音楽・美術作品等の利用料の料金体系では複数媒体への利用は回数ごとに利用料が発生するとされており、画像についても同様に算定すべきである、③本件各画像は第三者への利用許諾を想定していないが、写真素材サービス等の利用料の相場を参考にすべきである、と主張した。また、訴訟費用(訴え提起・控訴提起の手数料及び郵便費用)を不法行為に基づく損害として請求できるかも争点となった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は控訴を棄却し、原審の判断を維持した。損害額の算定について、著作権法114条3項の「受けるべき金銭の額」は、利用回数等の物理的分量のみならず、利用期間、利用態様、著作物の価値、侵害者の内心の態様、市場状況等の諸般の事情を総合考慮して定めるべきであるとした。その上で、本件各画像は一定の目的をもって一体化された画像の一部が使い回されているとみることも可能であり、一体の利用といえること、利用期間が短期間で閲覧回数も限定的であること、一部の写真はスキャンパン社から提供を受けたもので控訴人が著作権を有しないこと、本件各画像は商業的実用用途を目的とし表現される思想・感情が限定的であること、被控訴人の利用は単純な商業的利用にすぎないこと等を考慮し、損害額は被告サイト全体の利用について5万円が相当と認定した。訴訟費用の損害賠償請求については、最高裁令和2年4月7日判決を引用し、民事訴訟費用等に関する法律2条各号の費目は裁判所書記官の処分を経て取り立てることが予定されているため、不法行為に基づく損害として請求することは許されないとして、拡張請求を棄却した。