AI概要
【事案の概要】 同性カップルである原告ら(いずれも男性)が、同性間の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の諸規定(本件諸規定)は憲法24条及び14条1項に違反するにもかかわらず、国が必要な立法措置を講じていないと主張し、国家賠償法1条1項に基づき、被告(国)に対し、慰謝料各100万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。原告らは結婚契約等公正証書や任意後見契約公正証書を作成した上、平成31年2月に婚姻届を提出したが、男性同士を当事者とする婚姻届は不適法であるとして不受理とされていた。本件は、札幌・東京・大阪・福岡とともに全国5地裁で提起されたいわゆる「結婚の自由をすべての人に」訴訟の一つであり、名古屋地裁における控訴審判決である。 【争点】 1. 本件諸規定が憲法24条及び14条1項に違反するか 2. 本件諸規定を改廃しないことが国家賠償法上違法であるか 3. 原告らに生じた損害とその額 【判旨】 裁判所は、まず憲法24条1項について、「両性」「夫婦」の文言や制定経過等に照らし、同条項が同性間に対して現行の法律婚制度を及ぼすことを要請しているとは解し難いとして、本件諸規定は同条1項に違反しないと判断した。もっとも、同性間に法律婚制度を及ぼすことが禁止されているわけでもないとした。 次に憲法24条2項については、同性カップルも親密な関係に基づき永続性をもった生活共同体を構成しうる点で異性カップルと異ならないとし、両当事者の関係が国の制度により公証され、その関係を保護するのにふさわしい効果の付与を受けるための枠組みが与えられる利益は、同条2項により尊重されるべき重要な人格的利益であると認定した。その上で、世界的に同性カップルの法的保護が進み、国内でも147の地方自治体が登録パートナーシップ制度を導入し、意識調査でも賛成派が反対派を上回る状況に至っていることなどを踏まえ、同性カップルに保護の枠組み自体を与えない状態を正当化するだけの具体的な反対利益は十分に観念し難いとして、本件諸規定は同性カップルに公証と保護の枠組みすら与えていない限度で憲法24条2項に違反すると判断した。憲法14条1項についても、同性愛者にとって同性との婚姻が認められないことは性的指向による別異取扱いに他ならないとし、同じ限度で違反すると判断した。 もっとも、国家賠償法上の違法性については、同性カップルに対する保護の枠組みの必要性が具体的に認識されたのは比較的最近であることなどから、国会が正当な理由なく長期にわたって立法措置を怠っていたとまでは評価できないとして、国家賠償請求は棄却した。