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【事案の概要】 本件は、商標「UNBRAKO」(標準文字)の商標登録(第6162919号、指定商品:第6類「金属製金具」)に対する無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。原告(シャノン リミテッド)は、米国SPS社から全世界における「UNBRAKO」ブランドのファスナー事業及び商標権を2008年に譲り受けた企業であり、1961年以来60年以上にわたり日本を含む世界各国で六角穴付きボルト等を販売してきた。一方、被告は、原告の日本総代理店であるPCCジャパンからUNBRAKOブランドのファスナーを仕入れ販売していた中島工機社の代表取締役であり、原告側の商標権が存続期間満了により順次消滅した後の2018年10月に本件商標の登録出願を行い、2019年7月に設定登録を受けた。原告は、本件商標が商標法4条1項10号(周知商標)、19号(不正目的)及び7号(公序良俗違反)に該当すると主張して審決の取消しを求めた。 【争点】 1. 引用商標が日本国内で原告の業務に係る商品「ボルト」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたか(商標法4条1項10号該当性) 2. 引用商標が外国の需要者の間に広く認識されており、被告が不正の目的をもって本件商標を使用するものか(同19号該当性) 3. 本件商標の登録が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるか(同7号該当性) 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。争点1について、平成17年から19年までの間に業界誌への広告掲載が一定程度認められるものの、平成20年以降の本件商標の登録出願時及び登録査定時までの間に引用商標が使用された証拠は金属産業新聞のあいさつ広告にとどまり、需要者の間に広く認識されていたとは認められないとした。争点2について、全世界での売上高等を記載した書面は具体的根拠が示されておらず、各国における商品のシェアも不明であるとして、外国における周知性も認められないとした。争点3について、原告自身が日本における商標登録について十分な関心を持たず適切な管理を怠っていたこと、中島工機社と原告との間に別段の契約関係がないこと、被告が第三者による権利行使を防ぐ目的で出願した旨述べ原告側に対する権利行使の意思がないことを表明していること等を考慮し、背信行為により登録されたものとは認められず、公序良俗に反するとはいえないと判断した。