AI概要
【事案の概要】 被告は、意匠に係る物品を「収納容器」とする意匠(登録第1472070号)の意匠権者である。当該収納容器は、軟質の合成樹脂で一体に形成された本体部と把手用ロープから成り、衣料・雑誌・野菜・乾物などの家庭用品を収納する多目的容器である。原告(株式会社大創産業)は、本件意匠について意匠登録無効審判を請求し、(1)本件意匠が中国の意匠公報に記載された甲1意匠と類似すること(意匠法3条1項3号、無効理由1)、(2)本件意匠が当業者において甲1意匠及び複数の公知意匠に基づいて容易に創作できたこと(同法3条2項、無効理由2)を主張した。特許庁は令和4年11月29日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決をしたため、原告が審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に提訴した。 【争点】 (1) 取消事由1:本件意匠の認定の誤り(本体部開口端部等の外周形状を「略横長トラック形状」と認定したこと、中央部を「略平坦状」と認定したこと、把手部の配置を数値化して認定したこと等の当否) (2) 取消事由2:甲20意匠の認定の誤り(その開口端部の外周形状の認定の当否) (3) 取消事由3:本件意匠の創作非容易性についての判断の誤り(公知意匠に基づく創作容易性の有無) 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。まず類否判断(無効理由1)について、本件意匠と甲1意匠は、上部が開口した略逆円錐台形状の本体部と一対の紐状把手部から成るという基本的構成態様では共通するものの、(1)把手部が本体部の長手方向の両側面に設けられているか短手方向に設けられているかの相違、(2)本体部上端が倒弓状で中央部が略平坦状・左右端寄りが先尖り状であるか水平状であるかの相違、(3)把手部が太めの荒縄状で右側面視略U字状であるか細い紐状で正面視略放物線状であるかの相違は、いずれも需要者の注意を強く惹く部分であり、両意匠は別異の美感を与えるものと判断した。次に創作非容易性(無効理由2)について、本件意匠の上端形状(中央部が略平坦状で左右端寄りの曲率が次第に大きくなり先尖り状となる形状)、本体部開口端部と底面の外周形状が共に略横長トラック形状である点、及び把手部の具体的態様は、いずれも甲各意匠には見られない独自のものであり、これらが全体として一体のまとまり感ある美観を形成している点に着想の新しさないし独創性が認められるとして、当業者が容易に創作できたものとはいえないと結論づけた。