損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 一審原告(日本経済新聞社)は、自社が著作権を有する新聞記事について、一審被告(首都圏新都市鉄道株式会社・つくばエクスプレス運営会社)が記事の画像データを作成・保存した上、社内イントラネットにアップロードし従業員等が閲覧可能な状態に置いたことが、複製権及び公衆送信権の侵害に当たるとして、著作権法114条3項に基づく使用料相当損害金等合計約4414万円の支払を求めた事案である。原審は約459万円を認容したところ、双方が控訴した。 【争点】 ①平成30年3月以前に被告イントラネットに掲載された記事の件数、②本件各記事の著作物性及び一審被告の故意・過失の有無、③損害額の算定(記事1件当たりの使用料相当額及び掲載期間の評価)が主な争点となった。一審被告は、新聞記事は事実の伝達にすぎず著作物性がない、また著作権侵害について故意・過失がないと主張した。一審原告は、平成30年3月以前にも年間312件の記事が掲載されていたと主張し、掲載後の閲覧状況を損害額算定で考慮すべきでないと主張した。 【判旨】 控訴審は、本件各記事について、記事内容を分かりやすく要約したタイトルが付され文章表現に工夫が凝らされていることから著作物性を認め、著作権法10条2項の「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」には当たらないとした。一審被告の故意・過失については、新聞記事の著作物性や使用許可の必要性に関する一般的知識を有していなかったとは認めがたく、少なくとも過失があるとし、一審被告の主張はいわゆる法の不知と同種の位置付けであるとした。掲載記事数については、平成30年3月以前の保管記事517件のうち枠付き記事107件は掲載を認定し、残る410件についても約9割の370件の掲載を認めた。さらに、一審被告広報担当者の発言等から保管記事以外にも掲載記事があったと推認し、477件の2倍に当たる954件と認定した結果、合計1266件の掲載を認めた。損害額は記事1件当たり5000円として633万円、弁護士費用63万円の合計696万円を認容し、原判決を変更して一審原告の控訴を一部認容、一審被告の控訴を棄却した。