AI概要
【事案の概要】 原告は、心理援助職に就きスクールカウンセラーとして活動する者である。被告Bは心理療法家、被告Cは一般私人、被告Dは精神科医である。原告が平成26年3月に被告Bのブログのコメント欄に質問を投稿したことをきっかけに、被告らとの間でインターネット上のトラブルが発生した。被告Bは、原告がブログに掲載した放射線量計の写真(本件原画像)を無断で複製・掲載し、原告から削除を求められたにもかかわらずこれを拒否した。その後、被告らは平成26年3月から令和2年6月まで約6年間にわたり、ブログやツイッター等において、原告を「ストーカー」「PTSD解離」「ネットストーカー」「ゴキブリ」「ゴロツキ」等と表現する記事等を大量に投稿した。被告Bの投稿件数は優に1000件を超え、同一記事を複数の掲示板に投稿するなど広範な拡散がなされた。原告は、被告らの共同不法行為による名誉毀損、侮辱、プライバシー権侵害、著作権(名誉声望保持権)侵害等を主張し、損害賠償及び本件複製画像の自動公衆送信の差止めを求めた。なお、被告Bは先に原告を被告とする別件損害賠償訴訟を提起したが、請求棄却判決が確定していた。 【争点】 主な争点は、(1)名誉毀損の成否(同定可能性・社会的評価の低下)、(2)違法性阻却事由の存否、(3)名誉感情侵害(侮辱)の成否、(4)被告らの共同不法行為の成否、(5)本件原画像の著作物性、(6)名誉声望保持権侵害の成否、(7)プライバシー権侵害の成否、(8)損害額であった。 【判旨】 裁判所は、以下のとおり判断し、原告の請求を一部認容した。名誉毀損について、被告Bがブログ等で使用した原告のハンドルネーム等から原告の同定可能性を認めた上で、原告を「ストーカー」とする記事等は、原告がいいがかりをつけて特定の他者につきまとい迷惑をかける者であるとの印象を与え、原告の社会的評価を低下させると認定した。原告が「PTSDや解離性同一性障害を患っている」とする記事等についても、原告が重い精神疾患を抱える者であるとの印象を与え、社会的評価を低下させると判断した。違法性阻却については、被告らの投稿が専ら公益目的であるとは認められず、また前提事実の重要部分が真実であるとの証明もないとして、いずれも排斥した。侮辱については、原告を「ゴキブリ」「ゴロツキ」「ヤクザ」等と揶揄する投稿が100回を優に超えてなされており、社会通念上許容される限度を超える侮辱行為に当たると認定した。共同不法行為については、平成27年10月14日以降の被告ら3名の投稿は客観的に関連共同していると認め、一部については被告Bと被告Cの間でのみ共同不法行為が成立すると判断した。本件原画像の著作物性を認め、被告Bが原告の名誉声望を害する形で本件複製画像を利用したとして、著作権法113条11項に基づく著作者人格権侵害を認定した。損害額については、名誉毀損・侮辱による損害として被告Bに349万円、被告Cに323万円、被告Dに250万円(一部連帯)を認め、さらに被告Bに対しプライバシー権侵害30万円、名誉声望保持権侵害50万円を加え、被告Bに合計429万円、被告Cに合計323万円、被告Dに250万円の支払いを命じた。また、本件複製画像の自動公衆送信又は送信可能化の差止めを認容した。