著作権確認及び使用差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(渋川市)の職員として徳冨蘆花記念文学館に勤務していた控訴人が、同文学館の常設展示室に設置されている解説パネル(本件パネル)の内容を構成する解説文(本件解説文)及び映像付き脚本朗読作品「不如帰」の朗読部分の文章(本件脚本)について、自らが著作者として著作権を有すると主張し、被控訴人に対し、①本件解説文が図録の文章と同一であること等の確認、②本件パネル及び本件映像作品の使用差止め、③使用料相当損害金100万円の損害賠償を求めた事案の控訴審である。原審(東京地裁)は、確認の訴えはいずれも確認の利益を欠くとして却下し、差止請求及び損害賠償請求はいずれも理由がないとして棄却した。控訴人はこれを不服として控訴するとともに、当審において差止めの対象を拡張した。 【争点】 主な争点は、本件解説文及び本件脚本の著作権が控訴人と被控訴人のいずれに帰属するかである。具体的には、①本件解説文等が職務著作(著作権法15条)に該当し被控訴人が著作者となるか、②控訴人が被控訴人の職員採用前に請負契約に基づき着手していたことが職務著作の成立を妨げるか、③本件図録に控訴人名が付されたことにより本件解説文も控訴人名義で公表されたといえるか、④前訴判決で本件図録の著作権が控訴人に帰属すると確定したことの既判力が本件解説文の著作権帰属の判断に及ぶか、が争われた。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、控訴棄却及び当審における拡張請求に係る訴えの却下を言い渡した。まず、確認の訴えについては、原審同様に確認の利益を欠き不適法であるとした。次に、著作権の帰属について、本件解説文及び本件脚本はいずれも職務著作として被控訴人が著作者となり、著作権も被控訴人に帰属すると判断した。控訴人の補充主張に対しては、①控訴人と地方公共団体である被控訴人との間で契約書なく請負契約が締結されることは通常考え難く、仮に職員採用前に着手していたとしても、その後当該業務のために職員に採用され在職中に完成したと認められるから結論を左右しない、②本件図録に控訴人名が付されたことは編集著作物としての図録についてのものであり、本件パネルの内容をなす本件解説文が控訴人名義で公表されたことにはならない、③前訴判決の既判力は編集著作物としての本件図録の著作権帰属に限られ、本件解説文について被控訴人が著作者となるとの認定判断を妨げない、とそれぞれ排斥した。当審における差止請求の拡張部分については、具体的な侵害行為が特定されておらず不適法として却下した。