損害賠償(労災)請求控訴事件、同附帯控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4ネ3777
- 事件名
- 損害賠償(労災)請求控訴事件、同附帯控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年6月28日
- 裁判種別・結果
- 破棄自判
- 裁判官
- 河村浩、瀬孝、河村浩
- 原審裁判所
- 千葉地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 テーマパーク(東京ディズニーランド)の運営会社である控訴人と労働契約を締結し、キャラクター出演者として就労している被控訴人が、平成25年2月7日から平成30年3月12日までの間、上司や同僚からパワーハラスメント及び集団的ないじめを受け、精神的苦痛を被ったと主張して、控訴人に対し、債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為(使用者責任)に基づき、慰謝料及び弁護士費用合計330万円等の支払を求めた事案の控訴審である。被控訴人は、ゲストからの暴行被害を申告した際の上司の対応(「心が弱い」等の発言)や、過呼吸症状を引き起こす配役の変更を求めた際の対応(「わがままには対応できない」「解雇対象になる」等の発言)をパワハラと主張し、また、複数の同僚からの侮辱的発言等を集団的いじめと主張した。原審は、パワハラ及び集団的いじめの事実は認めなかったものの、控訴人には職場における「孤立防止義務」違反があるとして、慰謝料80万円及び弁護士費用8万円の合計88万円の支払を命じた。控訴人はこの判断が処分権主義及び弁論主義に反するとして控訴し、被控訴人は附帯控訴した。 【争点】 (1) 被控訴人に対するパワーハラスメントの有無(上司らによる本件発言1ないし3) (2) 被控訴人に対する集団的ないじめの有無(同僚らによる本件発言4ないし9の2) (3) 控訴人の債務不履行責任ないし不法行為責任の有無(孤立防止義務違反・仕事内容調整義務違反を含む) (4) 損害発生の有無及びその額 【判旨】 控訴認容・原判決中控訴人敗訴部分取消し・被控訴人の請求棄却・附帯控訴棄却。裁判所は、パワハラに関し、本件発言1については、面談に「氏名不詳の男性上司」が同席した事実が証拠上認められず、主張の前提を欠くとした。本件発言2については、医師が配役中止を指導した記載が診療録になく、過呼吸の事実を上司に伝えていたとも認められず、被控訴人自身が本人尋問で主張を変遷させている点等から認定できないとした。本件発言3については、発言時期に2度の変遷があり、Dが被控訴人の過呼吸を目撃した事実も認められないとした。集団的いじめに関しては、「カースト」の存在自体に疑問があるとした上、個々の発言について、録音データに記録されたAの発言は会話の一部を意図的に切り出したもので文脈に照らし違法とはいえず、Iの発言については出勤していなかった日の出来事と主張するなど客観証拠に反する点があり、その他の発言も証拠上認定できないとした。原審が認めた「孤立防止義務」違反については、被控訴人がそのような義務違反を原審で主張していたとは認められず処分権主義等に反する上、義務の内容が抽象的であり、被控訴人が職場で孤立していた事実も認定困難であるとした。当審で新たに主張された「仕事内容調整義務」違反についても、訴えの追加的変更ないし時機に後れた攻撃防御方法に該当し得る上、実体的にも義務違反を認めることは困難であるとして、被控訴人の請求を全部棄却した。