損害賠償請求事件、関西建設アスベスト損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 建設作業等に従事した際に石綿(アスベスト)含有建材から生じる粉じんにばく露し、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚等の石綿関連疾患にり患したと主張する被災者又はその承継人である原告らが、石綿含有建材を製造・販売した被告ら(ノザワ、ニチアス、大建工業、日東紡績、パナソニック、日本インシュレーション、日鉄ケミカル等の建材メーカー)に対し、石綿含有建材の危険性を表示せずに製造・販売したことが不法行為に該当するとして、民法709条又は民法719条1項後段の類推適用に基づき、損害賠償を求めた、いわゆる建設アスベスト訴訟(大阪訴訟)である。 【争点】 主な争点は、①被告らの予見可能性及び警告義務違反の有無、②石綿関連疾患の原因となった建材及びこれを製造・販売した企業(特定主要原因企業)の特定、③民法719条1項後段の類推適用による因果関係の推定の可否、④損害額(慰謝料の基準額)、⑤消滅時効の成否である。 【判旨】 裁判所は、以下のとおり判断し、原告らの請求を一部認容した。予見可能性について、吹付石綿・吹付ロックウールを製造・販売していた被告らは昭和46年初めには吹付作業従事者に石綿関連疾患を発症させる危険性を具体的に予見できたと認定した。吹付材以外の石綿含有建材(外装材を除く)を製造・販売していた被告らについても、昭和48年には屋内建設現場における建設作業従事者との関係で予見可能性があったと判断した。警告義務について、被告らは石綿含有建材に石綿が含有されていること、石綿関連疾患発症の危険性、防じんマスク着用の必要性等を個々の建材又はその包装に表示すべき警告表示義務を負っていたにもかかわらず、これを履行したと認めるに足りないとした。建材の特定については、市場シェア等を基にした認定方法により特定主要原因建材及び特定主要原因企業を被災者ごとに認定し、民法719条1項後段を類推適用して因果関係を推定した。慰謝料の基準額は、石綿関連疾患により死亡した場合は2950万円、肺がん・中皮腫・石綿肺(管理区分4)等にり患した場合は2750万円とし、喫煙歴がある肺がん被災者については民法722条2項を類推適用して減額した。消滅時効については、被災者が長年多数の建設現場で作業に従事し、使用建材の特定が困難であった事情等から、労災認定時に「加害者を知った」とはいえないとして、被告らの時効主張を排斥した。