AI概要
【事案の概要】 原告P1は、エゾノキリンソウ種の登録品種「トットリフジタ1号」の育成者権者であり、原告会社(株式会社フジタ)は同育成者権の独占的通常利用権者である。被告会社(ブルージー・プロ株式会社)は、屋上緑化システム「みずいらず」等の製品を販売する会社であり、原告会社から本件品種の種苗を購入していたが、増殖禁止の覚書に反し、被告P2(代表取締役)の指示の下、被告P3に本件品種の種苗を無断で増殖させ、被告製品に使用して販売していた。原告らは、被告らに対し、育成者権侵害の不法行為に基づく損害賠償(主位的請求)及び不当利得返還(予備的請求)を求めた。なお、前訴(債務不存在確認訴訟)では、特定の行為について被告会社の育成者権侵害が確定しており、また刑事事件では差戻審で無罪判決が確定していた。 【争点】 ①被告種苗1を使用した被告製品の販売数量、②原告P1の損害額・利得額、③原告会社の損害額・利得額、④消滅時効の成否が争点となった。さらに、被告らが主張する品種登録の無効事由(冒認出願、無審査、明確区別性欠如)については、前訴の既判力及び訴訟上の信義則により審理の蒸し返しに当たるかが問題となった。 【判旨】 裁判所は、まず被告らの品種登録無効の主張について、前訴で実質的に攻撃防御が尽くされた争点の蒸し返しであり、既判力ないし訴訟上の信義則に照らして許されないと判断した。被告P2は前訴当時から被告会社の代表者であり、被告P3も被告会社の主張に依拠して固有の主張をしていないことから、いずれも信義則上の制限に服するとした。被告種苗1の使用数量については、捜査報告書等の証拠から26万3368株と認定した。消滅時効については、原告らが遅くとも平成27年11月16日までに甲6調書を入手し損害及び加害者を知ったと認められるため、前訴既判力の及ぶ前訴対象行為(1812株)以外の不法行為に基づく損害賠償請求権は時効消滅したと判断した。不当利得返還請求については、独占的通常利用権者である原告会社にも不当利得返還請求権を認めた上で、被告製品の1株当たり販売金額505円に利用料率3%を乗じ、前訴対象行為分を除く26万1556株分の396万2573円を被告会社の利得と認め、原告P1と原告会社の不真正連帯債権として認容した。前訴対象行為分については、利用料率5%を適用し、被告ら連帯で5万0328円の損害賠償を命じた。