損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5ネ10001
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年7月13日
- 裁判官
- 本多知成、浅井憲、勝又来未子
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(株式会社)は、自社が運営するYouTubeチャンネル(投資家向けプレゼンテーション番組)の動画について著作権を有していたところ、控訴人が自己のブログに当該動画からキャプチャした静止画を多数貼り付けた記事を投稿し、被控訴人の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害したとして、民法709条に基づき約985万円の損害賠償を請求した。原審は約242万円を認容したところ、双方が不服として控訴及び附帯控訴した。 【争点】 1. 引用の抗弁(著作権法32条1項)の成否 2. 時事の事件の報道の抗弁(同法41条)の成否 3. 権利濫用の抗弁の成否 4. 損害額の算定 【判旨】 知的財産高等裁判所は、被控訴人の請求を約192万円の限度で認容し、原判決を変更した。 引用の抗弁について、控訴人のブログ記事は30枚ないし70枚程度の静止画を時系列に沿って貼り付け、各静止画の間に動画内容の要約を記載したものであり、閲覧者が記事を見ただけで30分ないし50分超の動画全体をほぼ把握できるものであった。控訴人の感想・批評を述べる目的があることは否定できないものの、これほど大量の静止画の貼付けは、当該目的との関係で社会通念上合理的な範囲内とはいえず、適法な引用には該当しないと判断した。 時事の事件の報道の抗弁について、動画の内容はエンタテインメントとして制作されたものであり、ブログ記事は控訴人の感想を披れきしたものにすぎず、時事の事件の報道には該当しないとした。 権利濫用の抗弁について、被控訴人が「切り抜き動画」の募集を開始する以前に、動画の拡散を積極的に利用する意図があったと認める証拠はなく、また控訴人が許諾申請フォームにアクセスできなかったとも認められないとして、権利濫用には当たらないとした。 損害額については、NHKエンタープライズの映像からキャプチャした写真の使用料規定を参酌しつつ、NHKと被控訴人チャンネルとの規模・社会的影響等の相違を考慮し、著作権行使につき受けるべき金銭の額を150万円と認定した。これに発信者情報開示手続費用約2万4000円、同手続に係る弁護士費用20万円、本件訴訟に係る弁護士費用20万円を加え、合計約192万円を損害と認めた。