AI概要
【事案の概要】 被告人は、格納庫の賃貸・管理・運営等を業とするA合同会社の職務執行者として、同社の業務全般を実質的に取り仕切る立場にあった。A合同会社は、C社から東京国際空港(羽田空港)内に所在する格納庫を購入したが、C社が国に対して滞納していた同格納庫に係る未払地代が問題となっていた。被告人は、国土交通省東京航空局等との間で未払地代の支払条件等の折衝を行うとともに、A合同会社がC社に代わって未払地代相当額の損害金等を支払うための資金を管理する業務に従事していた。 被告人は、平成31年3月に合計約2億8000万円がB名義の預金口座に預け入れられ、これを業務上預かり保管していたところ、同月25日、自己の用途に費消する目的で、自らが代表取締役を務める会社の口座に5100万円を振込送金させて横領した(第1)。さらに同月28日、自己が実質的に業務全般を統括する法人の不動産取引に係る証拠金の支払名目で、5000万円を振込送金させて横領した(第2)。横領額は合計1億100万円に上った。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被害金額が合計1億100万円と大きく結果が重大であること、被害弁償がされておらず具体的な見込みも立っていないこと、合同会社の業務全般を実質的に取り仕切る立場を悪用した犯行であり信頼を裏切るものであることを指摘した。弁護人は、私利私欲ではなく法人の運転資金捻出のための流用であり動機に酌量の余地があると主張したが、裁判所は、個人の遊興費等に費消されていないとしても責任非難が大幅に減少するものではないと退けた。他方、被告人に前科がないこと、公訴事実を認めていること、今後の被害弁償を誓っていること、妻と姉が情状証人として出廷したことなどの事情も考慮し、求刑懲役6年に対し、被告人を懲役4年に処した(未決勾留日数中90日を算入)。