著作物の独占的利用権に基づく侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人らは、「ラジオへんすて」というサークルの共同運営者であり、同サークルが企画したクラウドファンディングのために、漫画家である被控訴人に対し、漫画原稿の作成を依頼した。控訴人らは、被控訴人との間で原稿作成依頼契約を締結し、本件各漫画について著作権法63条1項に基づく独占的利用許諾の合意(本件合意)が成立したと主張した。原審第1事件では、被控訴人が本件合意に違反して本件各漫画と同一内容の著作物をブログ、pixiv、単行本等で公開したとして、差止め・削除及び債務不履行に基づく損害賠償約353万円を請求した。債務不履行の内容は、同人誌原稿の不完全履行・履行遅滞、漫画原稿やネームの提出遅延、宣伝用漫画の未提出、機密情報の漏洩、打ち上げイベントの直前キャンセル、漫画の一コマの無断公開など多岐にわたる。原審第2事件では、被控訴人が他の参加漫画家に対し「独占的利用権を許諾(譲渡)すると著作者でも自分の作品を一切使えない」と記載した文書を送付したことが不正競争防止法2条1項21号の虚偽事実の告知に該当するとして、150万円の損害賠償を請求した。原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 主な争点は、①本件各漫画に係る独占的利用許諾契約(本件合意)の成否、②~⑨同人誌原稿の不完全履行・履行遅滞、漫画原稿やネームの提出遅延、宣伝用漫画の未提出、機密情報の漏洩、打ち上げのキャンセル、漫画の無断公開に係る各債務不履行の有無、⑩被控訴人の文書送付が「虚偽の事実」の告知に当たるかである。 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、控訴人らの主張をいずれも退けた。争点①について、被控訴人が尋問で「ここでしか読めないものを描いてほしいという話があった」と認めた点や、pixiv版の一部未公開の提案、イースト・プレス担当者へのメール等を考慮しても、本件合意の成立は認められないと判断した。その理由として、控訴人ら自身が、紛争発生後もウチムスマザコンのpixiv版公開等を問題視するどころか、被控訴人に感謝するメールを送信しており、本件企画に関しては無事行程が完了したとの認識を示していた事実を指摘した。争点②~⑨の各債務不履行についても、企画完了後に控訴人らが被控訴人に感謝の意を示し、ストレッチゴール達成に伴う追加報酬も支払われていることから、仮に債務不履行に当たる事実があったとしても控訴人らに損害が発生した事実は認められないとした。争点⑩の虚偽事実の告知についても、本件合意の存在が認められない以上、被控訴人の文書記載が虚偽の事実に当たるとは認められないと判断した。