契約無効確認等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4行コ61
- 事件名
- 契約無効確認等請求控訴事件
- 裁判所
- 福岡高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年8月23日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 久保田浩史、志賀勝、穗苅学
- 原審裁判所
- 佐賀地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 佐賀県武雄市の住民である被控訴人ら(原告ら)が、同市市長が違法な業務委託契約(本件契約)を締結し、武雄市に損害が生じたとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、市長に対して業務委託料相当額である約4億548万円の損害賠償請求をするよう市に求めた住民訴訟である。本件契約は、防災行政無線の整備に関し、有線方式による戸別受信機の整備等を内容とする業務委託契約であった。市長は、市議会の議決を経ずにこの契約を締結しており、原審(佐賀地裁)は住民らの請求を認容して市の勝訴を言い渡した。これに対し、市が控訴した。なお、控訴審係属中の令和5年1月27日、市議会は本件契約を追認する旨の議決を行った。 【争点】 主な争点は、①本件契約に建設業法及び武雄市規則違反の違法があるか、②市議会の追認議決により本件契約の瑕疵が治癒されたか、③損益相殺の可否である。被控訴人らは、控訴審において、本件契約の業務には建設工事が含まれるにもかかわらず受託者が建設業法上の許可を有していなかったこと、及び受託者が工事を一括下請けに出したことを追加主張した。一方、控訴人(市)は、市議会の追認議決により契約締結時の瑕疵は治癒されたと主張した。 【判旨】 控訴認容(原判決取消し、住民らの請求棄却)。裁判所は、まず建設業法違反等に関する被控訴人らの追加主張について、原審段階でわずかな追加調査をすれば容易に提出できたものであり、少なくとも重大な過失により時機に後れて提出された攻撃方法であるとして、民事訴訟法157条1項により却下した。次に、追認議決による瑕疵の治癒について、市議会の追認議決により本件契約は遡って適法なものとされ、瑕疵は治癒されたと認定した。被控訴人らが主張する「大規模な撤去工事が必要になるためやむを得ず追認した」との点については、これを認めるに足りる証拠はないとし、仮にそうであったとしても、市議会が撤去工事等による不利益と市長の責任追及による利益を衡量した上で市の利益のために追認議決をしたものと推認でき、その判断は尊重されるべきであるとした。また、市議会は追認議決に至るまでに全員協議会や複数回の特別委員会を開催し、有線方式と無線方式の優劣や契約締結の経緯等について市担当者から説明を受けた上で議決に至ったことを認定し、追認議決の効力を肯定した。以上から、被控訴人らの請求はその余の点について判断するまでもなく理由がないとして、原判決を取り消し、請求をいずれも棄却した。