AI概要
【事案の概要】 本件は、映画の製作・配給等を目的とする13社の原告ら(アスミック・エース、KADOKAWA、ギャガ、松竹、TBSテレビ、東映、東映ビデオ、東宝、日活、日本テレビ放送網、ハピネットファントム・スタジオ、フジテレビジョン、WOWOW)が、被告に対し、いわゆる「ファスト映画」の投稿による著作権侵害に基づく損害賠償を求めた事案である。 被告は、共犯者であるAらと共謀して、原告らが著作権を有する合計54作品の映画の著作物(「ヘルタースケルター」「シン・ゴジラ」「告白」「容疑者Xの献身」「おくりびと」等)を編集し、約2時間の映画全体の内容を把握できるように10〜15分程度にまとめた動画(ファスト映画)を作成してYouTubeに投稿した。これにより被告らは約700万円の広告収益を得た。 原告らは先にAらに対しても訴訟を提起し、Aらが請求原因事実を全て認めたため、全部認容判決が言い渡されていた。被告については公示送達による呼出しがなされたが、口頭弁論期日に出頭せず、答弁書等も提出しなかった。 【争点】 主な争点は、著作権法114条3項に基づく損害額の算定方法、具体的には「著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額」をいくらとすべきかである。原告らは、YouTubeにおける映画のレンタル価格(1作品あたり400〜500円程度)からプラットフォーム手数料30%を控除し、ファスト映画が映画全体の内容を把握できるものであることを考慮しても、1再生あたり200円を下らないと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求を全部認容した。 損害額の算定について、裁判所は、YouTubeの利用者が映画をストリーミング視聴するには所定のレンタル料を支払う必要があり、著作権者はそのレンタル料から著作権行使の対価を得ることを予定していると認定した。そのうえで、YouTube上での各映画作品のレンタル価格(HD画質で1作品あたり400〜500円程度)、プラットフォーム手数料が30%であること、ファスト映画が10〜15分程度に編集されたものであるが映画全体の内容を把握し得るように作成されていることを総合的に考慮し、被告らが得た広告収益が約700万円であることを併せ考慮しても、1再生あたり200円とするのが相当であると判断した。 この算定方法により、原告ら13社に対する損害賠償額は合計約5億円(原告日活に対する約1億8576万円が最高額)となり、被告に対して請求全額の支払が命じられた。本判決は、社会問題化したファスト映画について、映画会社が組織的に損害賠償を求めた事案として注目される。