特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「折畳み式テント」に関する特許権(特許第5595570号)を有する原告(株式会社ニード)が、被告(ヴィレップス合同会社)による折畳み式テント製品の製造・譲渡等が特許権侵害に当たると主張して、特許法100条1項に基づく差止め、同条2項に基づく製品等の廃棄、及び損害賠償373万4500円の支払を求めた事案である。 本件特許に係る発明は、災害時に避難所等で使用される折畳み式テントに関するもので、4枚の略矩形状壁面のうち、相隣る2枚の壁面の互いに対応する側縁を着脱可能な接合手段で接合し、その他の側縁を折畳み可能に連結して筒状周壁部を構成することで、接合手段を外せば壁面を開放でき、車椅子等がフレームを乗り越えずにテント内に出入りできるようにしたものである。被告各製品が本件発明の構成要件を充足するか否か、及び本件特許に無効理由があるか否かが争われた。 【争点】 主な争点は、(1)被告各製品が構成要件B(4枚の壁面の側縁の連結構成に関する要件)を充足するか、(2)米国特許第6782905号明細書(乙2文献)を主引用例とする新規性又は進歩性の欠如による無効の抗弁の成否、(3)補正要件違反・サポート要件違反・実施可能性要件違反・明確性要件違反の各無効理由の有無である。特に構成要件Bの「相隣る2枚の略矩形状壁面の互いに対応する側縁を除く他の側縁が相互に折畳み可能に順次連続して連結される」との文言の解釈が中心的争点となった。 【判旨】 裁判所は、まず構成要件Bの解釈について、「除く」は着脱可能な接合手段を介して接合される側縁を除外した「他の側縁」が折畳み可能に連結されることを規定したものと解し、被告各製品は構成要件Bを充足すると認定した。しかし、無効の抗弁について、乙2文献に記載された折畳み式テントの発明(乙2発明)と本件発明を対比し、構成要件AないしFの全てにおいて両者が一致すると判断した。原告は、本件発明では分離可能な側縁が1箇所のみであるのに対し乙2発明では2箇所である点等を相違点として主張したが、裁判所は、特許請求の範囲に側縁の組数を限定する記載はなく、明細書の記載も一実施例にすぎないとしてこれを退けた。また、構成要件Eの「開閉自在な両壁面開口部」について底面にファスナー等が存在しない構成に限定されるとの原告の主張も、請求の範囲にそのような限定はないとして排斥した。以上から、本件発明は乙2発明と同一であり新規性を欠くとして、本件特許は無効審判により無効にされるべきものと認め、原告の請求をいずれも棄却した。