商標登録取消決定取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、黄色の円形内に4つの目(黒色の点4個)と口(上向きの円弧状の線)を配置した「4つ目のスマイルマーク」からなる商標(本件商標)を登録した原告(有限会社キャピタル)が、特許庁による商標登録取消決定の取消しを求めた事案である。原告は本件商標の商標権者であり、第14類(身飾品)、第18類(かばん類等)及び第25類(被服等)を指定商品として商標登録を受けた。これに対し、異議申立人(有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド)が登録異議を申し立て、特許庁は、先願に係る引用商標(同じく4つ目のスマイルマークからなる6件の登録商標)と本件商標が類似するとして、商標法4条1項11号に該当するとの決定をし、上記指定商品についての商標登録を取り消した。原告は、本件商標と引用商標は目の形状・位置、口の曲がり具合・位置等の具体的な外観が異なり、顔全体のバランスも異なるため出所の混同は生じないと主張した。 【争点】 本件商標と引用商標が商標法4条1項11号にいう類似する商標に該当するか否か。具体的には、4つ目のスマイルマークという共通の構成を有する両商標について、目の形状(略正円形と略楕円形)、口の形状(わずかに上向きの弧線と大きく上向きの弧線)、顔全体のバランス(非対称と対称)等の差異が、出所の混同を防ぐに足りる相違といえるかが争われた。また、原告は、スマイルマークは世界的に著名でバリエーションが多く存在するため需要者はわずかな差異でも識別できること、及び異議申立人が原告のデザインを剽窃して商標登録を受けた経緯があり取消しは商標法の目的に反することも主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。裁判所は、本件商標と引用商標の外観について、いずれも黄色の円の中央上部に黒色の点を4個配置して目を描き、その下方に上向きの円弧で口を描いた図柄であり、4つ目の人の顔を黄色一色のシンプルな円形と点状の目及び円弧状の口だけで表現したものである点で共通すると認定した。原告が主張する目の形状・位置、口の曲がり具合等の差異については、両商標を並べて対比的に観察してようやく認識できる程度のものにすぎず、時と場所を異にする離隔的観察を基本とすべき現実の取引場面において、需要者が出所を識別できるほどの相違とはいえないと判断した。さらに、本件商標と引用商標がスマイルマークをベースとするものであるとしても、取引者・需要者は「4つ目のスマイル」という共通点をより強く認識するのが自然であり、それ以外のわずかな違いが注意を引くとはいえないとした。異議申立人との交渉経緯についても、引用商標が先願の登録商標としての適格を失うものではなく、商標法4条1項11号の該当性判断を左右しないとして、原告の主張をいずれも退けた。