AI概要
【事案の概要】 原告は、東京都心部α地区の商業地域に所在する6筆の土地(特例容積率適用地区内)を所有している。東京都知事は、これらの土地について平成27年度及び平成30年度の固定資産価格を決定し、固定資産課税台帳に登録した。その際、本件各土地には建築基準法上の容積率1300%に対し、特例容積率の限度指定により容積率が1140.2%に制限されていたが、東京都知事はこの限度指定を減価要因として考慮しなかった。原告は登録価格を不服として東京都固定資産評価審査委員会に審査申出をしたが、平成27年度分は棄却、平成30年度分は却下の決定を受けた。そこで原告は、平成27年度の審査決定の一部取消し(第1事件)及び平成30年度の審査決定の一部無効確認(第2事件)を求めて出訴した。併せて、平成30年度の登録価格を前提に納付済みの固定資産税及び都市計画税の一部が過納金であるとして、誤納金及び還付加算金の支払いも請求した。 【争点】 主な争点は3つある。第1に、東京都知事が採用した評価方法(本件評価方法)が固定資産評価基準の定める評価方法に従ったものか否か(争点1)。本件評価方法は、特例容積率の限度指定を反映しない標準的画地の鑑定評価書の「1平方メートル当たり標準価格」を基に北側路線の路線価を付設し、特例容積率の限度指定による差異を東京都土地価格比準表の格差率90%で調整するものであった。第2に、本件評価方法が評価基準に従っていないとしても、平成30年度登録価格審査決定に重大かつ明白な瑕疵があるか(争点2)。第3に、平成30年度修正価格決定の無効を前提とする賦課決定処分も無効であるか(争点3)。 【判旨】 裁判所は、争点1について、本件評価方法は評価基準の定める評価方法に従ったものとはいえないと判断した。その理由として、評価基準は路線価の付設に当たり標準宅地の適正な時価に基づくことを求めているところ、本件鑑定評価書の「1平方メートル当たり標準価格」は、特例容積率の限度指定がない容積率1300%の標準的画地の価格であり、容積率1140.2%の本件敷地部分の標準宅地の適正な時価とはいえないとした。また、特例容積率の限度指定による差異の調整を東京都土地価格比準表の格差率90%で形式的に行った点についても、不動産鑑定士による鑑定評価を通じて具体的に行うべきであったとした。もっとも、争点2については、本件評価方法が明らかに不合理であったとまではいえず、平成30年度登録価格審査決定に重大かつ明白な瑕疵があるとはいえないとした。争点3も同様に排斥した。結論として、平成27年度登録価格審査決定の一部取消請求を認容し、その余の請求(平成30年度に関する無効確認請求及び過納金返還請求)はいずれも棄却した。