公務執行妨害、傷害、建造物侵入未遂、営利略取未遂、営利略取、逮捕監禁致傷、強盗致傷、強盗被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和4年3月から5月にかけて、複数の組織的犯罪に関与したとして、建造物侵入未遂、強盗、営利略取未遂、逮捕監禁致傷、強盗致傷等の罪で起訴された。具体的には、①大津市の質屋にブロックを投げ付けて侵入しようとした建造物侵入未遂、②京都市の時計店でハンマーを用いて店員を脅し、腕時計41点(販売価格合計約6921万円)を強取した強盗、③大阪市で2名の被害者に対し催涙スプレーや十手を用いた暴行を加え、営利目的で略取しようとした営利略取未遂等(うち1名については逮捕監禁致傷も成立)、④パチンコ店の景品交換所から現金を運搬中の従業員に催涙スプレーを噴射するなどして強取しようとした強盗致傷未遂の4件である。また、別途、飲酒状態で警察官の制止を振り切り車を急発進させたとする公務執行妨害・傷害でも起訴された。 【争点】 主な争点は2つある。第1に、④b区強盗致傷事件における被告人とD及びPとの共謀の有無である。弁護人は共謀を否定し無罪を主張した。第2に、公務執行妨害・傷害事件における被告人の故意の有無である。被告人が車を急発進させた際、警察官がドアノブを持って立っていることを認識していたかが問題となった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、④b区強盗致傷事件について、共犯者Dの証言がドライブレコーダーの録音内容により強力に裏付けられていると評価し、被告人がDに強盗を持ちかけ、実行役を勧誘し、随時連絡・報告を受けて了承や指示を与えていたと認定した。被告人の否認供述はD証言と相容れず不自然であるとして排斥し、共謀共同正犯の成立を認めた。 一方、公務執行妨害・傷害事件については、被告人が相当程度酒に酔った状態であったこと、警察官がドアノブをつかんでいる旨の説明に反応を示さず終始前方を見ていたこと、車の発進とドアの開放がほぼ同時であったこと等から、被告人が警察官のドアノブ把持を認識していた点について合理的疑いが残るとして、無罪を言い渡した。 量刑判断では、被告人が短期間に組織的・計画的犯行に繰り返し関与し、いずれの事件でも実行役と同等以上の責任を負うべき関与をしていること、保釈後も犯行を重ねていること、関与の態様が他律的なものから自律的・自発的なものへと深化し、闇バイトで若者を犯罪に引き入れたことも非難に値すると指摘した。経済的困窮は量刑上酌むことはできないとした上で、一部事件での反省態度や前科がないこと等を考慮し、求刑懲役15年に対して懲役12年を言い渡した。