AI概要
【事案の概要】 原告(粧美堂株式会社)は、被告(ノーブル株式会社)が商標権者である登録商標「くるんっと前髪カーラー」(標準文字、第26類「ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」)について、商標登録無効審判を請求した。特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」との審決(不成立審決)をしたため、原告がその取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。被告商品は前髪用のヘアカーラーであり、平成11年から販売され累計200万個以上の販売実績があるとされていた。 【争点】 ①本件商標が商標法3条1項3号(商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標)に該当するか、②同項6号(需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標)に該当するか、③同法4条1項16号(商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標)に該当するか。 【判旨】 請求認容(審決取消し)。裁判所は、取消事由①(3条1項3号該当性)について理由があると判断し、その余の取消事由を検討するまでもなく審決を取り消した。 裁判所はまず、本件商標の構成中の「前髪」「カーラー」の各語の意味は需要者にとって極めて明確であると認定した。次に「くるんっと」の語について、辞典の記載、本件査定日前のウェブサイトや新聞記事における多数の使用例を詳細に検討し、「前髪」や「カーラー」と共に使用される場合には、もっぱら「(前髪が)丸く曲がった様子」を示すために用いられていると認定した。被告は「くるんっと」を受ける動詞が構成中に存在しないため意味が一義的に特定できないと主張したが、裁判所は、文法的に正確でなくても需要者が語句の意味を把握できないとはいえないとし、実際にウェブサイト上でも文法的に不正確だが意味が明確な使用例が多数存在することを指摘した。以上から、「くるんっと前髪カーラー」に接した需要者は「丸く曲がった前髪を作るカーラー」を意味すると認識するとし、本件商標は商品の品質・効能等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(3条1項3号)に該当すると判断した。独占適応性についても、他の事業者が同一又は類似の標章を用いることは当然に想定されるとして、被告の主張を排斥した。