損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 実演家グループ「A」のメンバーである控訴人ら4名が、専属的マネジメント契約(本件専属契約)を締結していた被控訴人(有限会社Sirene)に対し、令和元年7月13日の契約終了後も、被控訴人が管理・運営するウェブサイト(公式サイト、グッズ販売サイト、ファンクラブサイト)において、グループ名や控訴人らの肖像・芸名等を掲載し続けた行為について、肖像権等及びパブリシティ権の侵害に基づく損害賠償と、黙示の肖像等利用契約に基づく報酬の支払を求めた事案である。原審(東京地裁)は、グッズ販売サイトにおけるパブリシティ権侵害等を一部認容したが、控訴人らが敗訴部分を不服として控訴した。本件専属契約書には、契約終了後の肖像等の取扱いに関する規定は存在しなかった。 【争点】 (1) 肖像権等侵害の成否(契約終了後の肖像等利用が受忍限度を超えるか)、(2) パブリシティ権侵害の有無、(3) 控訴人らによる肖像等使用の黙示の許諾の有無・範囲、(4) パブリシティ権侵害による精神的損害の可否、(5) 損害額。 【判旨】 知財高裁は原判決を変更し、控訴人ら各自に21万1577円及び遅延損害金の支払を命じた。まず、本件専属契約終了後、被控訴人は控訴人らの肖像等について使用権原を有しないと判示した。公式サイト及びファンクラブサイトについては、課金システム上の理由からファンクラブ閉鎖に時間を要したこと、控訴人らもファン等への配慮から閉鎖時期の延期を受け入れたことから、令和元年11月30日までの肖像等掲載について黙示の許諾があったと認定し、肖像権等侵害は成立しないとした。他方、グッズ販売サイトについては、黙示の許諾を認めるに足りる合理的理由はないとして、契約終了日の翌日(令和元年7月14日)から令和3年12月31日までの約2年半にわたる肖像等の掲載・グッズ販売行為が肖像権等侵害に当たると認定した。損害額については、肖像権等侵害の慰謝料として各15万円、パブリシティ権侵害による財産的損害として各2万6000円(著作権法114条3項類推適用)、弁護士費用各2万円の合計19万6000円を認容した。なお、パブリシティ権は肖像等の商業的価値に基づく権利であるため、特段の事情がない限り精神的損害は認められないとし、控訴人らのパブリシティ権侵害に基づく慰謝料請求は棄却した。加えて、黙示の合意に基づく報酬として各1万5577円を認容した。