AI概要
【事案の概要】 本件は、原告が、情報公開法に基づき、財務大臣及び近畿財務局長に対し、学校法人A(いわゆる森友学園)に対する国有地売却に関連する被疑事件の捜査について、財務省及び近畿財務局が東京地検又は大阪地検に任意提出した一切の文書の開示を請求したところ、両行政機関の長から、文書の存否を答えるだけで情報公開法5条4号の不開示情報を開示することになるとして、同法8条に基づく存否応答拒否(いわゆるグローマー拒否)による不開示決定を受けたため、その取消しを求めた行政訴訟である。原告は、近畿財務局職員であった夫(公文書改ざん問題を苦に自殺)の遺族であり、国会答弁や別件訴訟でのBファイル提出等により対象文書の存在は公知の事実であるから存否応答拒否はできないと主張した。 【争点】 本件各不開示決定が情報公開法8条の存否応答拒否の要件を満たすか否か、すなわち、対象文書の存否を答えるだけで4号不開示情報(公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報)を開示することになるとした行政機関の長の判断に相当の理由があるか(裁量権の逸脱・濫用があるか)が争われた。具体的には、(1)概括的な開示請求における対象文書の特定情報が存否情報に含まれるか、(2)4号不開示情報該当性の判断における行政機関の長の裁量の範囲、(3)対象文書の存在が公知の事実であり存否応答拒否ができないかが争点となった。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず情報公開法8条の存否応答拒否について、原告が主張する「仮に対象文書が存在する場合に不開示情報に該当すること」という前提要件を付加すべき法令上の根拠はないとして排斥した。次に、概括的な開示請求においては、開示・不開示の決定に際して対象文書の名称等による特定が必要となるため、対象文書の特定情報も存否情報に含まれると判示した。その上で、対象文書の存否を明らかにすれば、任意提出の有無、還付の有無、文書の内容・範囲・通数等が推知され、捜査手法や捜査機関の関心事項が明らかとなり、将来の同種事件における罪証隠滅を容易にするなど捜査に支障を及ぼすおそれがあるとした行政機関の長の判断は、社会通念上著しく妥当性を欠くとはいえず、裁量権の逸脱・濫用はないと判断した。公知性の主張についても、国会答弁から認められるのは決裁文書の任意提出の事実にとどまり、本件被疑事件の捜査のための提出か否かや還付・写し作成の有無は公知でなく、Bファイルや財務省ウェブサイト掲載文書についても同様に、対象文書として存在することが公知とは認められないとして、原告の主張をいずれも退けた。