請求異議控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、卵子凍結保存容器等を製造販売する控訴人(株式会社リプロライフ)が、被控訴人(株式会社北里コーポレーション)に対する確定判決(知財高裁平成31年(ネ)第10008号)に基づく間接強制決定について、請求異議事由があると主張して強制執行の不許を求めた事案の控訴審である。確定判決は、控訴人が自社製品の広告において「解凍後100%生存」「100% survival」等の表示をする行為が不正競争防止法2条1項20号の不正競争(品質誤認表示)に当たるとして、これらの表示を禁止したものであった。被控訴人は同判決に基づき間接強制決定を得たが、控訴人は不作為義務違反のおそれがないとして請求異議の訴えを提起した。原審(東京地裁)は控訴人の請求を棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 (1) 原審が「不作為義務に違反するおそれ」について十分な検討をしたか(審理不尽の有無) (2) 本件不作為義務が控訴人の学問の自由・表現の自由を不当に侵害するか (3) 原審に釈明義務違反の違法があるか (4) 被控訴人の間接強制申立てが権利濫用に当たるか(「チャレンジ100」「100% Survival Club」等の表示が不作為義務の対象となるか) 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、以下のとおり控訴人の主張をいずれも排斥した。 争点(1)について、控訴人が援用する東京高裁決定は子の引渡しの間接強制に関するものであり、請求異議の訴えである本件とは関係せず、原審に審理不尽の違法はないとした。 争点(2)について、本件不作為義務は、医療関係者が控訴人製品を使用した場合に融解後の生存率が100%になると認識されるような表示を禁止しているにすぎず、控訴人の学問の自由や表現の自由を直ちに制約するものとはいえないとした。 争点(3)について、被控訴人の強制執行が著しく信義則に反し不当なものとは認められず、請求異議が認められない以上、原判決は結論において相当であるとした。 争点(4)について、権利濫用の判断基準として最高裁昭和62年判決を引用し、債務名義の性質、確定された権利の内容、成立経緯、成立後の事情、当事者への影響等を総合考慮した。その結果、控訴人は長期にわたり禁止表示を継続していたこと、執行抗告審でも不作為義務違反のおそれが認められていたこと、禁止表示ができないことが直ちに控訴人の事業に著しい支障を生じさせるとは認め難いこと等から、被控訴人の強制執行は権利濫用に当たらないと判断した。