営業侵害行為差止請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社Ichido)は、被告AI、被告SAI及びEL社(後に被告LS Creationが吸収合併)との間で、英語教育プログラム「スマホ留学」を共同運営する任意組合契約を締結した。原告は、被告らが①原告代表者A名義のメールマガジンを無断配信したこと、②競合サービス(ケンペネEnglish・オンライン留学)を提供し顧客名簿を不正使用したこと、③LINE@アカウントを無断変更したこと、④業務を放棄したこと等を理由に組合契約を解除し、組合財産の引渡し、利益分配金の支払、経費不正計上による損害賠償(1億円の一部請求)、不正競争防止法に基づく差止め・損害賠償等を請求した。 【争点】 (1)組合契約の解除事由の有無及び組合財産の単独取得の可否、(2)利益分配金の未払の有無、(3)経費計上に係る共同不法行為又は債務不履行の成否及び損害額、(4)顧客名簿が不正競争防止法上の営業秘密又は限定提供データに該当するか、(5)組合契約の秘密保持条項違反の有無。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を大部分棄却し、ごく一部のみ認容した。 組合財産の引渡し請求について、裁判所は、組合契約9条1項に基づく除名は組合財産の払戻請求権を失わせるという重大な結果をもたらすものであるから、形式的な契約違反にとどまらず、その重大な結果に見合う相当の違反行為があった場合に限り認められると解した。原告が主張する各解除事由(メルマガ無断配信、競合サービス提供、LINE@変更、業務放棄等)は、いずれもそのような重大な違反行為には当たらないと判断し、組合財産の引渡請求を棄却した。 利益分配金請求については、2019年9月期の未払分配金87万2067円の限度で被告LSに対する請求を認容した。 経費計上に係る損害賠償請求については、被告らが経費として計上した項目の多くはスマホ留学事業との関連性を否定できないとしつつ、支払報酬等合計85万9734円は経費として計上すべきでなかったと認定し、原告の分配割合20%に相当する17万1946円の限度で被告AI及び被告SAIに対する共同不法行為に基づく請求を認容した。 不正競争防止法に基づく請求については、顧客情報の取得・管理はEL社が行っており、被告らも共有持分を有していたことから、営業秘密又は限定提供データの不正取得には当たらないとして棄却した。秘密保持条項違反についても、スマホ留学事業で取得した顧客情報は各組合員が固有に保有していた情報ではなく、契約上の「機密情報」に該当しないとして請求を棄却した。