道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 小浜簡易裁判所は、令和4年11月9日、道路交通法違反被告事件において、被告人を罰金10万円に処する旨の略式命令を発付し、同命令は同月26日に確定した。しかし、同略式命令の請求に係る起訴を行った検察事務官は、検察官事務取扱の職務命令の発令を受けていなかったことが一件記録から判明した。すなわち、公訴提起が権限のある者によって行われておらず、略式命令の請求における公訴提起の手続に重大な瑕疵があったとして、検察官が非常上告を申し立てた事案である。 【争点】 検察官事務取扱の職務命令の発令を受けていない検察事務官が行った公訴提起(略式命令の請求)が有効か否か、及び、かかる手続の瑕疵に基づき発付された略式命令が刑訴法454条の「事件の審判が法令に違反したこと」に当たるか否かが争点となった。 【判旨】 最高裁第二小法廷は、裁判官全員一致の意見で、原略式命令を破棄し、公訴を棄却した。 その理由として、略式命令の請求に係る起訴を行った検察事務官が検察官事務取扱の職務命令の発令を受けていなかった以上、公訴提起が権限のある者によって行われていなかったことは明らかであり、当該略式命令の請求は、公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であると判示した。したがって、小浜簡易裁判所としては、刑訴法463条1項・338条4号により公訴棄却の判決をすべきであったところ、略式命令を発付したことは、同法454条の「事件の審判が法令に違反したこと」に当たると判断した。 以上から、本件非常上告には理由があり、原略式命令は法令に違反し、かつ被告人のために不利益であるとして、刑訴法458条1号により原略式命令を破棄した上、同法338条4号により公訴を棄却した。