AI概要
【事案の概要】 ベトナム人技能実習生である原告が、鉄筋工として被告会社で就労していたところ、被告会社の労働基準法等違反により労働基準監督署から是正勧告を受けたことが原因で、外国人技能実習機構による技能実習2号の計画認定審査が停止し、在留期間満了日(令和元年6月8日)までに在留資格の変更ができなくなった。原告は、被告会社(実習実施者)及び被告協同組合(監理団体)に対し、共同不法行為又は民法628条に基づき、残存期間の賃金相当額等合計674万2722円の損害賠償を求めた事案である。被告らは在留期間満了の4日前に初めて原告に帰国を告げ、短期滞在への在留資格変更等の方法を説明しなかったため、原告は寮を離れて不法滞在状態となり、入管に収容された後、約1年後に別の実習先で技能実習を再開した。 【争点】 (1) 被告会社の不法行為責任の成否(技能実習計画の認定申請の遅滞、労基法違反による認定審査停止、在留期間延長措置の不実施、短期滞在への変更手続の不実施、調査・説明義務違反、実習先変更に関する調査・説明義務違反) (2) 民法628条に基づく損害賠償責任の成否(雇用契約の終了事由、やむを得ない事由及び過失の有無) (3) 被告協同組合の不法行為責任の成否 (4) 損害の有無及び額 【判旨】 裁判所は、被告会社及び被告協同組合の説明義務違反(不法行為)を認め、連帯して332万6940円の支払を命じた(一部認容)。まず、在留資格変更が在留期間満了日までにできなかった原因は被告会社の労基法等違反に対する是正勧告にあると認定した。その上で、技能実習のための雇用契約の目的・内容及び技能実習制度の仕組みに照らし、実習実施者である被告会社は、技能実習生が本邦に在留しながら在留資格変更手続を行うために取り得る手段を調査し説明すべき義務を負っていたと判示した。具体的には、短期滞在への在留資格変更申請により在留を継続する方法(本件方法)が高度の蓋然性をもって認められる状況にあったにもかかわらず、被告らはこれを原告に説明せず、帰国するしかないとの誤った説明をした点が説明義務違反に当たるとした。被告協同組合についても、監理団体としての一般的義務に加え、在留資格変更手続の委託を受けて主体的に活動していた本件の関与状況に照らし、同様の説明義務違反を認めた。損害額は、就労不能期間387日分の賃金相当額272万6940円、慰謝料30万円(在留資格喪失による不安定な立場及び50日間の収容)、弁護士費用30万円の合計332万6940円とした。なお、申請遅滞及び実習先変更の説明義務違反の主張は排斥された。