道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5さ11
- 事件名
- 道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2023年9月29日
- 裁判種別・結果
- 判決・破棄自判
- 裁判官
- 長嶺安政、宇賀克也、林道晴
- 原審裁判所
- 小浜簡易裁判所
AI概要
【事案の概要】 小浜簡易裁判所は、道路交通法違反被告事件について、令和4年11月17日、被告人を罰金6万円に処する旨の略式命令を発付し、同命令は同年12月3日に確定した。しかし、この略式命令の請求に係る起訴を行ったのは検察事務官であったところ、当該検察事務官は「検察官事務取扱」の職務命令の発令を受けていなかった。検察事務官が検察官の事務を取り扱うには、検察庁法36条に基づき区検察庁の検察官(検事正)から検察官事務取扱の命令を受ける必要があるが、本件ではその発令がないまま公訴提起が行われていた。すなわち、公訴提起の権限を有しない者によって起訴がなされたものであり、検察官がこの法令違反を発見して非常上告を申し立てた。 【争点】 検察官事務取扱の発令を受けていない検察事務官による公訴提起が有効か否か、及びこれに基づく略式命令が刑訴法454条の「事件の審判が法令に違反したこと」に当たるか否かが争点となった。 【判旨(量刑)】 最高裁第三小法廷は、裁判官全員一致の意見で、非常上告に理由があると判断した。本件略式命令の請求は、公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であり、小浜簡易裁判所としては刑訴法463条1項・338条4号により公訴棄却の判決をすべきであったとした。略式命令を発付したことは刑訴法454条の「事件の審判が法令に違反したこと」に当たると認定し、同法458条1号により原略式命令を破棄した上で、同法338条4号により公訴を棄却した。非常上告は、確定判決に法令違反がある場合に検事総長のみが最高裁に申し立てることができる非常救済手続であり、本件は公訴提起の根本的な瑕疵が確定後に判明した事案として、被告人の利益保護のために同制度が機能した典型例といえる。