不正競争行為差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 気管支喘息用の吸入薬「シムビコート タービュヘイラー」を製造販売する控訴人(アストラゼネカ)が、被控訴人ら(日本ジェネリック及び東亜薬品)が製造販売する後発医薬品(ジェネリック医薬品)の吸入器の形態が控訴人商品の形態と類似しているとして、不正競争防止法2条1項1号に基づき、被控訴人商品の製造販売の差止め、廃棄及び約2億3886万円の損害賠償を求めた事案の控訴審である。控訴人は、吸入器の形態が周知の商品等表示に該当し、被控訴人商品との間で出所の混同が生じていると主張した。原審(東京地裁)は控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 主な争点は、①控訴人商品の吸入器の形態が不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するか(特別顕著性及び周知性の有無)、②控訴人商品と被控訴人商品との間に混同のおそれがあるかであった。控訴人は、医師や薬剤師が吸入器の形態で商品を識別しており、被控訴人商品をオーソライズド・ジェネリック(AG)と誤信するおそれがあるなどと主張した。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。まず特別顕著性について、控訴人商品の販売前から類似形態の吸入薬「アズマネックス」が存在しており、控訴人商品の形態が客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴を有するとは認められないとした。加えて、控訴人商品の吸入器の形態は、薬剤の性能を発揮し患者が最も効果的に吸入できるよう設計された機能的形態であり、被控訴人東亜薬品もPMDAと相談しながら治療学的同等性を確保するために同様の構造を採用したものであって、実質的機能を達成するための不可避的な形態であるとし、このような形態に商品等表示としての保護を与えることは自由競争を阻害するとして相当でないと判断した。周知性についても、控訴人商品の形態の独占的使用は意匠権及び特許権の存在に基づくものであり、これら知的財産権の存続期間満了後、競合品の販売開始までの期間が短く、知的財産権に基づく独占状態の影響が払拭されたとはいえないとして、周知性の要件も充足しないとした。混同のおそれについても、医療用医薬品の主たる需要者である医師及び薬剤師は、病態や薬効等を考慮して処方・調剤を行うのであり、形態の類似により混同が生じるとは認められず、控訴人商品のAGは現実に販売されていないことから、AGとの誤認混同も生じないとした。