持続化給付金等支払請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4行コ198
- 事件名
- 持続化給付金等支払請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年10月5日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 松本利幸、加本牧子、松本利幸
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)2条5項に規定する性風俗関連特殊営業を営む控訴人(原審原告)が、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い策定された「持続化給付金給付規程」及び「家賃支援給付金給付規程」に基づく各給付金について、性風俗関連特殊営業を営む事業者を給付対象から除外する各規程の定め(本件各不給付規定)が憲法14条1項等に違反し無効であると主張して、被控訴人国に対しては贈与契約に基づく給付金の支払い(持続化給付金200万円、家賃支援給付金96万8000円)、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金150万円の支払い等を、被控訴人デロイト及び被控訴人リクルートに対しては受領委任契約に基づく各給付金の支払いを、それぞれ求めた事案の控訴審である。原審は、本件各不給付規定は合理的根拠のない差別に当たらず憲法14条1項に違反しないとして、確認の訴えを却下し、その余の請求を棄却した。 【争点】 (1) 本件各不給付規定の憲法14条1項適合性(厳格審査の要否を含む) (2) 性風俗関連特殊営業を給付対象から除外することに合理的根拠があるか(国民の理解の観点) (3) 本件各不給付規定が憲法22条1項(職業選択・遂行の自由)を侵害するか 【判旨】 控訴棄却。東京高裁は、原判決の判断を補正した上で維持し、以下のとおり判示した。 まず、憲法14条1項適合性の審査基準について、本件各給付金は中小事業者の事業継続を支えるという社会経済的目的で策定されたものであり、その給付基準の策定には様々な政策的考察が必要であるという事柄の性質上、行政庁の裁量の範囲は相当程度広範であるとして、厳格審査を求める控訴人の主張を退けた。 次に、本件各不給付規定の合理性について、性風俗関連特殊営業に対する風営法上の取扱い(許可制ではなく届出制とされていること等)の背景には、性的道義観念との関係で公的に認知する制度を採用することが相当でないとの考慮があると解されるところ、このような法制度上の位置付けを踏まえれば、給付対象とすることについて国民の理解を得ることが困難であるとした判断には合理性があるとした。控訴人が提出した世論調査結果についても、性風俗関連特殊営業事業者への給付を「適切だと思わない」等とする回答が70.6%に上ることなどを指摘し、国民の理解を得ることが困難との判断は不合理とはいえないとした。 さらに、本件各不給付規定は給付金を給付しないというものにとどまり、職業選択・遂行の自由を直接制約するものではなく、事実上の不利益があるとしても各種経済対策が総合的に実施される中での一施策の給付基準にすぎないとして、憲法22条1項違反の主張も退けた。