AI概要
【事案の概要】 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」)をめぐる贈賄事件である。被告人は、株式会社Aの取締役専務執行役員等として同社の東京2020大会関連業務を統括していた者であるが、同社の取締役会長B及び部下の従業員Cと共謀の上、東京2020大会の組織委員会理事Eに対し、同社を大会の第3階層の協賛企業(Tier3スポンサー)に選定するとともに、協賛金額を3億8000万円以内にしてもらいたい旨、及び協賛契約の締結を迅速に行ってもらいたい旨など、同社に有利かつ便宜な取り計らいを受けたい旨の請託をした。そして、そのような取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに、令和元年9月から令和3年1月までの間、9回にわたり、組織委員会理事E及びその関係者Iが経営する会社の口座に合計6909万円を振り込み、賄賂を供与した。被告人は、部下Cから組織委員会理事の金員要求について報告を受けた際、違法行為に当たる可能性を十分認識しながら、会社の利益や会長Bの意向を優先させて要求に応じることとし、コンサルタント料名目での支払方策の検討を指示するなど、いわば臭い物に蓋をする形で犯行に関与した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人らが自社のブランド力向上やビジネスチャンス獲得という利己的な動機から、合計6909万円という相当高額な賄賂を供与した点を重視した。組織委員会理事側から金員を要求されたことが本件の契機となった事情を踏まえても、厳しい非難が妥当するとした。また、本件犯行により、東京2020大会の組織委員会役員等の職務の公正さや大会の公正な運営に対する信頼が害され、多数の関係者の努力によって作り上げられた大会に汚点を残したと指摘した。被告人の役割については、違法行為を抑止すべき立場にありながら犯行に及んだものであり、実務担当者であった共犯者Cと同程度以上に重いと評価した。他方で、被告人が起訴事実を認めて謝罪と反省の気持ちを表していること、妻が監督を誓約する嘆願書を提出していること、前科がないこと等を酌み、懲役2年・執行猶予4年を言い渡した(求刑:懲役2年)。