損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(第1審原告)は、自ら作成した沖縄県糸満市周辺の住宅地図(控訴人地図1)及び特許出願の願書に添付された図面(控訴人地図2)について、被控訴人(LINEヤフー株式会社、旧ヤフーの承継人)が提供するプロアトラス地図及びヤフー地図が控訴人各地図の著作権(複製権、翻案権、譲渡権、公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)を侵害したと主張し、1億1000万円の損害賠償等を求めた事案である。控訴人は、自身の地図が居住人氏名を省略し建物番地を大きなフォントで表示するなど、検索性と鳥瞰性を両立させた独創的な住宅地図であると主張した。原審(東京地裁)は請求を全部棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 主な争点は、被控訴人各地図が控訴人各地図を複製又は翻案したものといえるか(著作権侵害の成否)である。具体的には、控訴人地図の表現上の本質的特徴が被控訴人各地図から直接感得できるかが問題となった。控訴人は、素材の取捨選択や建物名称・番地の配置方法等の7つの本質的特徴を主張し、被控訴人は、これらはアイデアにすぎずありふれた表現であると反論した。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、地図の著作物の創作性は地理情報の取捨選択やその配置等の具体的表現方法に求められるが、地図の実用的用途に由来する内在的制約から選択の幅は狭く、創作的表現の余地は大きくないと判示した。その上で、控訴人主張の本質的特徴①〜⑦は個別にみれば従来の地図にも見られるありふれたものであり、独創性を備えるには至らないとした。プロアトラス地図との比較では、建物種類を示す記号の使用、建物の種類に応じた色分け、番地記載の省略や目立たせない配色など、創作性に強い影響を及ぼす有意な相違点が多数認められるとし、控訴人地図1の表現上の本質的特徴を直接感得できないと判断した。ヤフー地図についても同様とした。控訴人地図2については、プロアトラス地図には対応地域の地図が存在せず、地図編集方針というアイデアの保護に帰することになるとして侵害を否定し、ヤフー地図についても控訴人地図1と同様の理由で侵害を否定した。