AI概要
【事案の概要】 原告(経営コンサルティング会社)は、株式会社リペア・デポの株主であったところ、同社の代表取締役である被告に対し、会社法429条1項に基づき合計約2億2222万円の損害賠償を請求した事案である。原告の請求は2つに分かれる。第1の請求(本件請求1)は、被告が原告の作成した保険スキーム提案資料を不正に入手・利用し、マツヤデンキに対して原告の代わりにグループ会社を保険代理店とする代替案を提案したことが善管注意義務違反に当たるとして、約1億5000万円の損害賠償を求めるものである。第2の請求(本件請求2)は、被告が原告の持株比率を低下させる目的で既発行株式の約13.3倍に当たる8000株の募集株式を発行し、その払込金4億円が払込当日にCMS決済により親会社に送金された仮装払込であったとして、約7222万円の損害賠償を求めるものである。 【争点】 本件請求1については、不正競争防止法違反、著作権法違反、保険業法違反・定款違反、業務委託基本契約違反の各善管注意義務違反の成否及び損害との因果関係が争われた。本件請求2については、不正目的による募集株式発行、有利発行、株式売渡請求承認の各善管注意義務違反の成否、払込の仮装の有無及び損害発生の有無が争われた。 【判旨】 裁判所は、いずれの請求も棄却した。本件請求1については、善管注意義務違反の成否を判断するまでもなく、損害との因果関係が認められないとした。すなわち、マツヤデンキは20年以上にわたり富士火災と保険契約を更新・継続しており、被告の提案行為前に本件保険契約の締結が確実な状況に至っていたとは認められず、マツヤデンキが富士火災との従前の取引関係を尊重して契約更新を選択した可能性を否定できないとした。本件請求2については、まず仮装払込の主張を退けた。CMS契約に基づく送金は短期貸付金として計上され、ベスト電器には返済資力があり、CMS契約解約時に全額返済されていることから、払込金4億円が実態のないものとはいえないとした。有利発行の主張についても、約4年後の鑑定評価額をもって発行時の公正な価格とすることはできないとして排斥した。