損害賠償等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、参議院議員であった原告A及び原告Bが、ツイッター上のアカウント「Dappi」(@dappi2019)から投稿された記事により名誉を毀損されたとして、同アカウントを業務として運営していたとするウェブ制作会社(被告会社)、その代表取締役(被告C)及び取締役(被告D)に対し、不法行為に基づく損害賠償(各440万円)、投稿の削除及び謝罪広告の掲載を求めた事案である。問題の投稿は、森友学園問題に関連して自死した財務省職員について、原告らが「1時間吊るしあげた翌日に自殺」したかのような印象を与える内容であった。被告らは、投稿は従業員が私的に行ったものであり、被告らは関与していないと主張した。 【争点】 主な争点は、(1)本件投稿が被告会社の業務として行われたか否か(投稿の業務性)、(2)原告らの損害額、(3)削除請求及び謝罪広告請求の当否である。特に争点(1)について、被告らは従業員1名が私的に投稿したと主張し、懲戒処分を行ったとする給与明細書(氏名欄をマスキングしたもの)を提出したが、裁判所の文書提出命令にはマスキングなしの原本を提出しなかった。 【判旨】 裁判所は、以下の事情から本件投稿は被告会社の業務として行われたと認定した。すなわち、本件アカウントへのログインはすべて被告会社のインターネット回線から行われていたこと、投稿は平日の業務時間帯に集中し1日平均6件と頻繁であったこと、動画の視聴・編集・要約等に相当の時間と集中力を要し他の業務と並行して行うことは困難であること、投稿者の基本給が月額110万円と高額で残業手当がないことから相応の地位にある者とみられること、従業員15名の小規模事務所で代表者が業務内容を把握していたこと、厳重注意後も従前と同様の頻度で投稿が継続していたことは私的行為としては極めて不自然であること等を総合的に考慮した。その上で、被告Cは代表取締役として投稿を包括的に指示したか自ら行ったものと認め、被告会社及び被告Cの不法行為責任を認めた。一方、被告Dは財務経理のみを担当し出勤も年数回程度であったとして責任を否定した。損害額については慰謝料各100万円及び弁護士費用各10万円の合計各110万円を認容し、投稿の削除請求も認めたが、謝罪広告については損害賠償及び削除命令により社会的評価は相当程度回復するとして必要性を否定した。