国家賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5ネ181
- 事件名
- 国家賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 仙台高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年10月25日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 小林久起、鈴木桂子、山﨑克人
- 原審裁判所
- 仙台地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 旧優生保護法(昭和23年施行)4条に基づき、原告2名(甲4は昭和42年、甲5は昭和27年、いずれも10歳代後半の時)が本人の同意なく強制優生手術(不妊手術)を受けさせられた。原告らは平成30年12月に国に対し、国家賠償法1条1項に基づき各3300万円の損害賠償を求めて提訴した。原告らは、旧優生保護法の優生手術に関する条項が憲法13条(個人の尊厳・自己決定権)、14条1項(平等原則)、24条2項(家族に関する個人の尊厳)に違反し、国会議員がこの違憲の法律を制定し改廃しなかったことが国家賠償法上違法であると主張した。被告国は、国会議員の立法行為は国家賠償法上違法とはいえないこと、及び民法724条後段の20年の期間経過により損害賠償請求権は消滅したと主張して争った。一審の仙台地裁は原告らの請求を一部認容し、被告国が控訴した。 【争点】 (1) 旧優生保護法の強制優生手術に関する規定の違憲性と国会議員の立法行為の国家賠償法上の違法性 (2) 民法724条後段の20年の期間経過による損害賠償請求権の消滅の有無(除斥期間か消滅時効か、権利濫用の成否) (3) 損害額の算定 【判旨】 控訴棄却。仙台高裁は、旧優生保護法の強制優生手術に関する規定が憲法13条、14条1項及び24条2項に違反することは明白であり、国会議員がこの法律を立法して原告らに強制的に優生手術を受けさせたことは国家賠償法上違法であると判断した。民法724条後段については消滅時効を定めた規定と解した上で、被告国が同規定により請求権が消滅したと主張することは権利の濫用(民法1条3項)として許されないとした。その理由として、原告らが長年にわたり権利行使が客観的に不能又は著しく困難な状況に置かれていたこと、平成8年の法改正によっても被害救済を求める権利行使の障害が解消されたとは到底いえないことを挙げた。損害額については、生涯にわたり子を産み育てる喜びを奪われた精神的苦痛等を考慮し、各原告につき慰謝料1500万円及び弁護士費用150万円の合計1650万円を認容した。