公職選挙法違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、広島市議会議員であった被告人が、令和元年7月施行の第25回参議院議員通常選挙に際し、広島県選出議員選挙に立候補する決意を有していたAの選挙運動者として、Aに当選を得しめる目的をもって選挙運動をすることの報酬であることを知りながら、平成31年4月3日、被告人の選挙事務所において、Aの配偶者であるF(衆議院議員)から現金30万円の供与を受けたとして、公職選挙法違反(被買収)に問われた事案である。 【争点】 ①被告人がFから受領したものが現金であると認識していたか、②現金であると認識していたとして、Aの選挙運動の報酬を含むものであると認識していたか、③本件公訴提起が公訴権の濫用として公訴棄却すべきか。 【判旨(量刑)】 裁判所は、争点①について、Fからこれまでにも複数回現金入りの封筒を受け取った経験があること、封筒の大きさや厚みから現金が入っていることは容易に想像がつく状態であったことなどから、被告人は現金であると認識していたと認定した。争点②について、Aの立候補表明から約2週間という時期に、初めて被告人の事務所を訪れたFから事務所の奥に誘導されて封筒を渡されたこと、過去にはFからの現金を趣旨不明として返金していたのに今回は趣旨を確認していないことなどから、選挙運動の報酬であると認識していたと認定した。争点③について、検察審査会の起訴相当議決を踏まえた公訴提起であり、公訴棄却すべきほどの違法性はないと判断した。量刑については、供与金額が30万円と高額で選挙の公正を害するおそれが高い一方、Fからの供与を拒みにくい状況があったこと、事後に同額を返送し自ら市議会議員を辞職したことなどを考慮し、罰金15万円及び30万円の追徴を言い渡した。