AI概要
【事案の概要】 本件は、「有料自動機の制御システム」に関する特許(特許第6513856号、発明の名称「有料自動機の制御システム」)について、原告(三共工業株式会社)が特許庁に対して無効審判を請求したところ、特許庁が「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。本件特許は、コインランドリー等のランドリー装置にICカードリーダー/ライタ部と通信部を有する装置を各々配置し、管理サーバが各装置から出力された運転中か否かの情報を集約して端末に提供することで、多数のランドリー装置が分散設置されていても巡回せずに動作状態を確認できるシステムに関するものである。原告は、新規性・進歩性の欠如(無効理由1~3)及び補正要件違反(無効理由4)を主張した。 【争点】 (1) 取消事由1:引用発明1(甲3・特開2001-147974号公報)に基づく新規性・進歩性の判断の誤り(相違点1-1~1-6の認定及び容易想到性) (2) 取消事由2:引用発明2(甲7~10・ハイアールアクア社のITランドリーシステム実機)に基づく新規性の判断の誤り(相違点2-1及び2-2の認定) (3) 取消事由3:甲7を主引用例とする進歩性の判断の誤り (4) 取消事由4:補正要件違反(センサー関連の発明特定事項を削除する補正が新規事項追加に当たるか) 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。取消事由1について、本件発明の「運転中であるか否かを示す情報」とはランドリー装置の状態を運転中か空きかの2状態に区分して対応付けた結果を示す情報であるところ、引用発明1のカードリードライターは利用金額等の集計データを出力するにとどまり、運転中か否かの判断・対応付けを行って出力するものではないから、相違点1-3の認定に誤りはないとした。また、引用発明1の課題は販売促進のための利用状況集計であり、運転中か否かの情報をカードリードライターで生成・出力する構成への変更には動機付けがないとして、容易想到性も否定した。取消事由2について、甲7~10にはアクアカードコントローラ内部の情報処理の具体的開示がなく、相違点2-1及び2-2が認められるとした。原告が提出した確認試験報告書についても、試験対象実機が出願前の実機と同一である証拠がなく、内部でどの機器が運転情報を生成しているかも不明であるとして排斥した。取消事由4について、当初明細書等にはランドリー装置が運転中か空きかを監視した結果を送信する構成が記載されており、センサーの検知信号に基づく構成はその具体化の一態様にすぎず、センサー関連事項の削除は新たな技術的事項の導入に当たらないとした。