損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、控訴人(第1審原告)が、被控訴人(第1審被告)に対し、被控訴人がYouTubeで配信する動画における発言が控訴人に対する不正競争行為(不正競争防止法2条1項21号)及び名誉毀損・侮辱・脅迫(民法709条)に該当するとして、合計1000万円の損害賠償及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。 被控訴人は、82万人を超える登録者を持つYouTubeの人気チャンネル「B」で動画配信を行っていた。控訴人は、被控訴人が投稿動画において「某A」「A」「A´のなんちゃらってやつ?」「とある某ブロガー」などの表現を用いて控訴人に言及し、控訴人の営業上の信用を害する虚偽の事実を述べ、また控訴人の名誉を毀損し、侮辱・脅迫したと主張した。 原審(東京地方裁判所)は、本件各発言が控訴人についての発言であると同定できないとして、不正競争行為及び名誉毀損の成立を否定し、侮辱・脅迫の成立も認めず、控訴人の請求を全部棄却した。これを不服として控訴人が控訴した。 【争点】 本件の中心的争点は、被控訴人の各投稿動画における発言が控訴人についての発言であると同定できるか(同定可能性)である。控訴人は、検索サイトで「A´の」や「A」と検索するとサジェストキーワードに「A B」と表示されることから、一般の視聴者も「A」が控訴人を指すと認識すると補充主張した。 【判旨】 控訴棄却。知的財産高等裁判所は、原審の判断を支持し、控訴人の補充的主張を排斥した。 まず、「B」と「A」を結びつけるサジェストキーワードが表示されるとしても、そのことから「A」が控訴人を指すと視聴者が理解すると解すべき根拠は不明であるとした。さらに、サジェストキーワードはユーザーの検索履歴や検索期間によって変動するものであり、被控訴人との紛争を背景に何度も「A」について検索していたと推認できる控訴人側が特定時点で検索した結果をもって、一般の視聴者にも同様のサジェストが表示されることの証拠とはいえないと判断した。現に、被控訴人代理人が同じ検索サイトで検索した際には当該サジェストキーワードは表示されなかった。以上から、一般の視聴者が動画中の「某A」「A」等の表現をもって控訴人を指すと理解するとは認められず、同定可能性が否定されるため、控訴人の請求はいずれも理由がないとして棄却した。