発信者情報開示命令取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、X(旧Twitter)を運営する米国法人である原告が、発信者情報開示命令の取消しを求めた事案である。被告は自身が著作権を有する画像(本件原画像)について、X上の氏名不詳者らによる投稿(本件投稿1及び4)により翻案権が侵害されたとして、プロバイダ責任制限法5条1項及び8条に基づき発信者情報開示命令を申し立て、東京地方裁判所は令和5年1月6日にこれを認容する決定(原決定)をした。原告はこの原決定に不服があるとして、同法14条1項に基づき原決定の取消しを求めて本件訴訟を提起した。なお、Xにおいてはアカウント作成時に氏名・住所の登録は不要であり、投稿時のIPアドレスも保有していないため、ログイン時の情報のみが発信者特定の手がかりとなるところ、ログイン情報の保管期間は通常60日間であった。 【争点】 1. 原決定に審理不尽の違法があるか。原告は、発信者情報目録記載3ないし6の各情報は本件投稿2及び5と最も時間的に近接するログイン通信に係る情報であるところ、本件原手続では本件投稿1及び4による権利侵害のみが争点であったから、本件投稿2及び5による権利侵害は実質的に審理されておらず審理不尽であると主張した。 2. 原決定に理由齟齬の違法があるか。原告は、「投稿1と最も近接するログイン通信」と「投稿2と最も近接するログイン通信」は異なるものであり、投稿1の権利侵害を認定しながら投稿2に係る情報の開示を命じた原決定には理由齟齬があると主張した。 【判旨】 請求棄却(原決定認可)。裁判所は、本件投稿1及び4による翻案権侵害は当事者間に争いがなく違法性阻却事由も認められないとして権利侵害の明白性を肯定した。審理不尽の主張については、本件原手続で専ら投稿1及び4の権利侵害が議論されていた以上、原決定もこれを前提に認容したものと認められ、投稿2及び5による権利侵害を理由としたとは認められないとして排斥した。理由齟齬の主張については、ログイン情報の保管期間が60日であることから、申立時点で原告が保有する最も古い情報は令和4年9月30日頃のものであり、投稿1と最も近接するログイン通信も投稿2と最も近接するログイン通信も同一の情報となるため、表現上の違いにすぎないとして退けた。侵害関連通信該当性についても、投稿との時間的近接性は乏しいものの、発信者特定のためのより適切な手段がないことを考慮し、相当の関連性を認めた。