AI概要
【事案の概要】 本件は、原告(デュプロ精工株式会社)が「古紙処理装置」に関する特許出願(特願2016-237137号)について拒絶査定を受け、不服審判請求(不服2021-10750号)をしたが、特許庁が手続補正を却下した上で審判請求を不成立とする審決をしたことから、その取消しを求めた審決取消訴訟である。本件補正発明は、古紙を収容する古紙収容部、古紙の分量を計測する計測部、古紙を再生処理する再生処理部及び制御部を備えた古紙処理装置に関し、制御部に、計測部の計測値に基づいて稼働停止時刻を算定する停止時刻算定機能部、算定された稼働停止時刻を通知する停止時刻通知機能部、稼働開始時刻を設定する開始時刻設定機能部及び停止時刻算定予約機能部を備えることを特徴とするものである。審決は、本件補正発明は引用発明(甲1:特開2011-122253号公報)及び甲2(特開2016-175283号公報)記載事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、進歩性を欠くと判断した。 【争点】 主な争点は、(1)引用発明の認定の当否(「運転開始予定時刻」の限定及び「再生予想時間」の具体的時間の認定)、(2)各相違点に係る容易想到性の判断の当否(引用発明の「再生予想時間」に代えて「稼働停止時刻」の構成を採用することが設計的事項といえるか、引用発明に甲2各記載事項を適用する動機付けがあるか)、(3)本件補正発明が奏する効果の顕著性の有無である。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、引用発明の認定について、甲1に記載された発明の「運転開始予定時刻」は任意に設定可能であり、夜間の時間帯に限定されるものではなく、「再生予想時間」も約1時間に限定されるものとは認められないとして、審決の認定に誤りはないとした。次に、容易想到性について、裁判所は引用発明の「再生予想時間」が装置の運転開始から運転停止までの連続した時間(稼動準備作業等を含む)を意味すると認定した上で、「運転開始予定時刻」に「再生予想時間」を加えれば「運転終了予定時刻」が導かれるから、再生予想時間の表示を運転終了予定時刻の表示に変更することは時間表示と時刻表示の差にすぎず、当業者が適宜選択し得る設計的事項であるとして、引用発明に基づく各相違点の容易想到性を認めた。さらに念のため、引用発明と甲2各記載事項が同一の技術分野に属し、ユーザへの注意喚起という目的・機能の共通性から適用の動機付けも認められるとした。効果の顕著性についても、稼働停止時刻を時刻表示に変更した場合に通常予測される利便性向上の域を出ないとして、原告の主張を全て排斥した。