販売差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 「ドクターマーチン」ブランドで靴商品等を展開する被控訴人(英国法人エア・ウェアー・インターナショナル・リミテッド)が、控訴人(株式会社エムディ企画)の販売するブーツについて、被控訴人の商標権を侵害し、また、被控訴人の周知な商品等表示との混同を生じさせる不正競争(不正競争防止法2条1項1号)を構成するとして、販売差止め及び廃棄を求めた事案の控訴審である。原審(東京地裁)は被控訴人の請求を全部認容し、控訴人がこれを不服として控訴した。被控訴人商品「1460 8ホールブーツ」は昭和60年以降日本で販売され、令和3年度だけで約10万足・販売額14億円超に上る。控訴人商品は約5000円、被控訴人商品は約2万6000円と価格差があり、控訴人商品は合成皮革製であるのに対し被控訴人商品は天然皮革製であった。 【争点】 主な争点は、(1)被控訴人商品の形態が周知の商品等表示に該当するか(特別顕著性・周知性の有無)、(2)控訴人各商品の形態が被控訴人商品と類似するか、(3)混同惹起行為に該当するかである。控訴人は、黄色のウェルトステッチは暗色系ウェルトと明色糸の組合せにすぎず特別顕著性がないこと、原審が形態要素の一部のみで商品等表示性を認めたのは弁論主義違反であること、価格帯や品質の違いから混同は生じないこと等を主張した。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。まず特別顕著性について、原審が黄色のウェルトステッチ(形態(ア))のみを取り上げて周知の商品等表示と認定した点は弁論主義に反するとしつつ、被控訴人が当審で主張を補充したことにより瑕疵は治癒されたとした。その上で、黄色のウェルトステッチ(形態(ア))、ソールエッジ(形態(イ))、ヒールループ(形態(ウ))の3点において他の同種商品と異なる顕著な特徴を有し、さらに個別にはさほど特徴的でない形態(エ)〜(ク)と組み合わせて全体的に観察すれば、他のブーツには全く見られない顕著な特徴を有するとして、形態(ア)〜(ク)を全て備える被控訴人商品の全体の形態に特別顕著性を認めた。周知性についても、販売実績、広告・メディア露出、アンケート調査(想起率30.7〜37.6%)等から肯定した。控訴人側アンケートは商品全体でなく部分写真のみで質問しており、対象者の絞込みも不適切として排斥した。類似性については、控訴人商品1はデッドコピーに等しく、控訴人商品2もヒールループの違いを除き形態(ア)〜(ク)の特徴を概ね備え類似すると判断した。混同のおそれについても、価格差や品質の違いは混同を否定する根拠にならないとして、不競法3条に基づく差止め・廃棄請求を全部認容した。