AI概要
【事案の概要】 本件は、業務用生ごみ処理機「ゴミサー」を製造・販売する原告が、かつて原告の販売代理店であった被告に対し、不正競争防止法に基づく損害賠償を求めた事案である。被告は平成8年頃から原告商品の販売代理店として活動していたが、令和元年頃に代理店契約が終了した。その後、被告は別の製造業者(テクノウェーブ)が製造する業務用生ごみ処理機を「ゴミサー」の名称で販売するようになった。被告は自社ウェブサイト上で、原告商品の写真を掲載し、「全国導入実績2,500台以上」「全国で2,300台以上が稼働」「全国・海外での導入実績は3,500台以上」等の販売実績を表示していたが、実際の被告の累計販売実績は原告商品956台、被告商品258台にとどまり、表示された数値には遠く及ばなかった。原告は、これらの表示が不正競争防止法2条1項20号の品質誤認表示に該当するとして、同法5条2項に基づき算定される損害金の一部である9164万3940円の支払を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)被告のウェブサイト上の販売実績表示が不正競争防止法2条1項20号の品質誤認表示に該当するか、(2)被告の故意の有無、(3)原告の損害発生の有無及び損害額であった。被告は、原告商品と被告商品の間に性能・機能の違いはなく品質の誤認はない、表示は代理店契約終了後に一時的に残存していたにすぎない、原告と被告の間に競業関係がなく不正競争防止法5条2項の推定規定は適用されないと主張した。 【判旨】 裁判所は、被告の表示はいずれも品質誤認表示に該当すると判断した。販売実績の表示は、需要者に対し、被告商品が品質において優れた商品であるとの権威付けをし、他の需要者も購入しているという安心感を与えることで、購入の合理的な判断を誤らせる可能性があるとした。客観的な性能・機能に違いがなくとも、虚偽の販売実績により品質の優位性を示す表示は「品質」の「誤認させるような表示」に該当すると判示した。故意についても、被告は原告商品の販売実績が被告商品に関するものでないことを認識しつつ掲載を続けたと認定した。損害額については、原告と被告の顧客層・販売エリアの共通性から競業関係を認め、不正競争防止法5条2項を適用して被告の限界利益1億2368万8021円を原告の損害額と推定し、弁護士費用1236万円を加えた合計1億3605万6823円のうち、請求額である9164万3940円の全額を認容した。